わははは面白い。
まず純粋にユーモア小説分が上手いなー。上司やライバルみたいなキャラクターを生き生きと描きつつ、でもそれが印象に残るのは主人公のユーモラスな語り口。ネットスラング他まで上品に織り込みつつ、大変巧みに文章をコントロールしていてとても良い。
肝心の「金融道」だけど、あまり経済のあれやこれやのめんどくさいところに踏み込まず、メインは取り立てストーリー。二番街で繰り広げられるアンドロイドのアレやコレやを描いていて、まあどっちかっつーと取り立てながら人間の関係を問い直す、みたいなイメージの方が近いよね。いやもちろんちゃんとSFならではの金融学も描かれテーマにはなっていて、でもそれはアイディア勝負でしち面倒くさいことにはなっていなくて良い。仮にそこに注力したって、リーマン・ショックのアレやコレやのほうがよっぽどエキサイティングで面白いんだから、この作品の塩梅くらいの距離の取り方は大変好感が持てました。カジノ回のペソ当たりのエピソードくらいが自分にはちょうどいい。
あと普通に超光速通信が発見されていない世界での宇宙SFって実はあんまり触れたことがなくて、その制限の下で発達したという考証を詰めた話が1回読みたいなあ。なんかいい本ないかしら。