ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

女殺油地獄

 

女殺油地獄 [VHS]

女殺油地獄 [VHS]

 

うひゃああああああああああ。おもしれえええええええええええええ。

いや近松門左衛門とか名前しか知らないし原作がどのくらい脚色されてるかもわかんないけどさ、いやあ、いやあ、ほんとこんなに映画観ながら呻き声をあげてしまったのは、えーこれ初めてかもしれない。

いやストーリーはどうしようもない三角関係と不倫の話かもしんないけどさ、樋口可南子がもうともかく存在感がすごいっちゅーか、こんなおばはんいたらそらもうお子ちゃまなんてコロッと行くよそれはヤバイよ。登場人物絞ったのもあって芝居芝居芝居を観ろーってないようだと思うんだけど、細かい台詞の応酬でのキャラ立てがもう本当に凄まじくて、台詞自体は超短いんだけど、たっぷりの間が本当に饒舌で。視線ひとつ仕草ひとつに「うおー」「ぎゃー」「ひぇー」となる。ってかあの足を踏む下りの飛躍と、しかしその飛躍こそがストーリーの展開に必須なあの感じ、やべーよ。

でもってこのやり取りを成立させてるのがこのリアルとはほど遠い演出なんだろうなー。油テーマということもありいちいちライティングがたまらん。最初のクローズアップでパンする異様なカメラもそうだけど、行灯で斜め下から照らされることで横の壁にすぐ映る不気味な影だとか、橋のたもとの揺らぐ霧の幻想的な色味とか、いかにも作ってますよな絵作りだから成立する脚本だよなー。

そしてとどめにあのスローモーションと静寂の油地獄。ひとりで拍手喝采してしまいました。いやー素晴らしい。傑作。