- 作者: 伊藤潔
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1993/08/25
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 54回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
この本によれば、日本が統治していた当時台湾人の日本への印象が良かったとは言えず実際あちこちで反乱が起きてバンバン人が死んでたそうだ。台湾統治を行った後藤新平なんかも「あんまり教育させすぎると知恵がついてめんどくさいんでほどほどにな」的な態度であったらしく、そういう教育を誇って「ワシが育てた」的なドヤ顔をするのは変な話だよなあ、と思う。日本も帝国主義に後ろから懸命に乗っかろうとしてたわけで、当時としちゃあ全然良心的な方だったかもしれないけど、だからといって植民地にされてた当の本人にしちゃたまったもんじゃないわけで。
面白いのが日本の台湾統治に最も高い評価を与えていたのが中国だったって話で、韓国やら満州やらでも富国強兵に励んだようにそのころ日本にはそこそこ優秀な都市計画ができたのだなあ、と思う。関東大震災の帝都復興計画も後藤新平音頭とったんだったよなーとか思いながら。
あと日本の評価が高いのはその後やってきた中華民国がヤバすぎたからってのと、あと総督府は反感を抱かれても教育者が好意を抱かれてた、ってのが後の親日感情に大きく影響を与えた、って分析は覚えておこうと思った。
民主化を行うために非民主的な政治改革を行う必要があったという話は、同時に読んでる伊藤博文の本でも似たような下りがあって、なるほど民主主義を機能させるためには国民の成熟が必要よねえ、と今の日本はホントに上手くいってんのかなーと考えたりした。