ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

織田信奈の野望

織田信奈の野望 (GA文庫)

織田信奈の野望 (GA文庫)

現実世界ではうだつのあがらなかった主人公が、異世界へと赴き活躍する話は数多くある。

たとえば『ブレイブ ストーリー』は、現実世界とファンタジー世界を律儀なまでに対比させることで、異世界に主人公が赴くことを見事に意味づけしていた。
しかしこの小説で現実世界は全く語られない。与えられた主人公の情報は、「歴史ゲームが好き」「ドッヂボールの避けが巧い」程度のものでしかない。
なぜここまで頑なに主人公のバックグラウンドを語らないのか?

って、よく考えれば当たり前だけど、この主人公の現実世界版って、読者である自分たちなんだよなあ。
そうして考えると、特筆して語られるべき特技が「ドッヂボールの避け」というのがいかにも良い落としどころだと感心してしまう。


以下雑感。
戦国自衛隊? それがどうした!
・ってか戦国ランスか。
ロリコンが正当化される時代にロリコンを否定するとは! まるで「花とアリス」の広末涼子にあんな台詞を言わせた岩井俊二みたいだ!
・意図的に避けられた死。出家というアイディアはgood。
・しかしたとえばこれ、前半はこのほのぼの不殺テイストで進めといて、後半になって身近なキャラクターが死を迎えると面白いなあ。そこで初めて、人を使う立場になった主人公が、自らの行動で人の命を奪っていることが明らかになる。ゲーム的な世界観に、愛着あるキャラクターの「死」が持ち込まれる瞬間。で、翻って重い意味を持つ秀吉の死……とかね。