ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ザリガニの鳴くところ

 

ザリガニの鳴くところ (字幕版)

ザリガニの鳴くところ (字幕版)

  • デイジー・エドガー=ジョーンズ
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うーん、この作りはどうなんだ? そりゃまあそういう落とし方もできなくはないだろうけど……あんな露骨にミスリードしたから、まさかそっちのオチで落とすのはないだろうなーとも思っていたけど……普通恋人が殺人を起こしたなら、法廷で自分が犯人だと名乗り出ないのはおかしいとは思っていたけれども……でもさー、だからといって、やっぱりあの夜にそんな無茶な犯行って全く現実的じゃないよなあ。アリバイ作りに不確定要素が多すぎるでしょ。

いやまあ、そういうミステリ的な味方をするべき作品じゃなくて、もっと内面で、ヒロインがあのような強行に至りうるその心情にフォーカスするのか、という内容なのかもしれないけれども。いやでも、「迫害されてきた」という、ハッとさせられる内容を展開するには、ちょっと説得力がなくないか? と思ってしまう。っつーか、迫害って自分の姿を客観的に見られないと成立しないと思うんだけれども、あの環境で自分が差別的な待遇を受けているとか、わかるものかしら? 端的に、男性への恐怖とか、対抗心とか、そういう感情を抱くまではわかるんだけれども……このヒロインが社会一般を的確に捉えているのがなんかこうピンとこないっつーか……

いやでも、「辺境で育った少女がイノセントであって欲しい」という自分の視点こそが、そういう偏見に囚われているって話? そういう願望込みで見ると、まあ確かにラストの構図の逆転こそが、作品の狙いではあるわけ、なのかしら……?

ペイン・ハスラーズ

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なんかあれだなー、女性版の「ペイン&ゲイン」みたいな話だなー。いや、あの映画みたいな突き抜けたところはないんだけれども、根っこにある「競争に勝利して成功を目指さなければならないというプレッシャー」ってのは、アメリカって国の原罪みたいなもんなんだろうなー。製薬会社と株の関係でアメリカンドリームが成立するとか、やりすぎって感じにしか思えないもんなあ。競争原理を働かせちゃならんものはやっぱりあると思うよ……

しかしよりによってフェンタニルか。最近出荷調整で話題になってたよね。かなり強めの薬で、医療でかなり限定的に使われるイメージなんだけれども、こんな感じで濫用されちゃあたまったもんじゃないよねえ。

ストーリーとしては、主人公の行動原理がかなり良い感じに正当化されていて、それがかえって居心地の悪さをおぼえさせたような気もする。視聴者が心置きなく感情移入できるような言い訳が、各所に用意されているよなあ。さすがにここまで展開を作られると、事実を下敷きにしてあるという前提があっても、ちょっとやりすぎじゃない? って思ってしまうところはある。

ネアンデルタール人の秘密

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グラハム・ハンコックから陰謀論からこのドキュメンタリーを再生すると、なんか目まいがするな。クラクラするな。それこそ「花で死者を埋葬した」辺りのくだり、作中でバッチリ否定されていて、なおかつそれがいかに危ういストーリーであるかってのが説明されるけれども、それがなかったら普通に学術的な裏付けがある話として信じちゃうもんなあ。いかに学問は難しいか、考古学は主観がつけ込む隙があるか、みたいなことを考えちゃう話である。

あとまあ、歴史のスケールがあんまりイメージ着かなくて、今までこういう話って時系列で整理できなかったんだけれども、シュメールについて学んだことで、ようやく人類の成り立ち辺りのイメージがつくようになってきた気はする。世界遺産とか、そういうところをおさえた上でもう一度見たい。氷河期の影響も、人類にとってかなり決定的な変化をもたらしたのは間違いないので、そのあたりも多少は頭に入れておきたいよなあ。

あとちょっと話はズレるけれども、ジブラルタルのあの山ってイギリス領だったのね。007で強烈な印象が残ってるけど、なるほどだから舞台になったのか……っていうかいくら要衝でも、あんなところに飛び地を持ってるイギリスすげーなーって思いましたわ。

セーヌ川の水面の下に

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いやー、不発弾を持ち出してまでラストのビジュアルを作ってるんだけれども、あれを見ちゃったらむしろあそこからが本番だよなあ……なんでそこで止めちゃうの? という気がする。ワニの映画で水没するのはあったけれども、あれってハリケーンの到来がキーだったヤツじゃん? 排水のシステムが壊れて現代の巨大都市が水没する、というのを動物パニックムービーでやるの、もうその立て付け自体がめちゃくちゃ魅力的じゃありません? っつーかそっちの方が本気でめちゃくちゃ見たいよ。しかもオリンピックでしょ? 世界中からアスリートが集まってきてる中で、しかし地元のフランス人を中心に、そういうハチャメチャパニックが起こったら、最高に面白いと思うんだけれどなー。いやー、本気で見たいなー。

とまあ、この映画のメインじゃないところの感想ばかり書いてしまっているけれども、作品としてはもう一声! という感じはした。パリの地下を生かすアクション自体は、なるほどなあ……という気もしたけれども、ちょっと状況が人工的すぎませんかね? すでにサメ映画はたくさんあるから、あのビジュアルを成立させられただけでOKだったりするのだろうか?

あとは活動家の人間の描き方が悪意に溢れすぎててちょっと……むしろ活動家がサメを使ってオリンピックをめちゃくちゃにしようとしていた、くらいやっちゃった方がむしろスッキリしたんじゃないかなーと思いました。

ミセス・ハリス、パリへ行く

 

うーんこれはなかなかファンタジーであるな。

もちろんファンタジーが悪いわけではない。夫を戦争で失った女性が、毎日を大切に過ごしながら、家政婦として生計立てている……なんて日常が映画になるなら、そこにはむしろファンタジーがあってしかるべきと思う。で、そのファンタジーがディオールに求められるなら、それはまあ超強力な映画の支点になるよなそりゃ必然だよな。ディオールってブランドなら、そういう魔法を用意できてしかるべき、みたいな感覚がめちゃくちゃある。イギリスとフランスのトーンの作り方の違いとか、そういうファンタジーが徹底的に丁寧に演出されていて良いよねえ。

またそのファンタジーへの飛躍に、主人公がきちんと食いついていくのが大変小気味よい。あのローキーなイギリスで、家政婦として培ってきた技術が、フランスの夢のような日々の中にきちんと爪痕を残すのは、見ている方としてもめちゃくちゃ勇気づけられるよなあ。

それにしても、あの「ストライキ」の先導を主人公がやるのって、イギリス人としての誇りが刻まれた行動だからだったりするのかしら……?

アンノウン: 殺人ロボットはどこに向かうのか

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いやまあ当然ここら辺懸念せざるを得ないよねー。中国でたくさんドローン飛んでるのを見てキャッキャ楽しんでる場合じゃない。ほんとうにない。

スウォーミングって言ってたけど、そういう戦闘が描かれてるフィクションが出てくるのも時間の問題かしら? もう出てる? 「ロボット2.0」にはそういう描写が合ったような気はするけど(笑)。いやでも、ああいう創発から生まれる目的みたいなものこそ、AIとシミュレーションの面目躍如だよなーと思った。

まあしかし、そういう仕組みって進化論と同じで、「目的」が明示されているわけではなくて、外的な条件によって「最適と判断された」ものだけが偶然生き残るわけじゃないですか。そしたら、最終的に作り手が意図した「目的」とは全く異なる結末が、導き出されちゃうことも有り得るわけだよねえ。っていうか、むしろそういう目的との誤差をどのくらいまで許容するかとか、どこまでコントロールできるかが、目的を持った人間側の重要な仕事になってくる気がする。

あと毒の話は真面目に本当にヤバいよね……安価で製造しやすくて強力な物質が、新たにゴロゴロ出てくるワケでしょ? 解毒剤なんてすぐには間に合わないだろうし、いやー、AIはマジで人類を次のフェイズに進めちゃいそうですね……

バーバリアン

 

バーバリアン

バーバリアン

  • ジョージナ・キャンベル
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デトロイトの感じとか知ってると確かにまあ怖いんだろうなあ、とは思う。

ストーリー的にもわりとちゃんとした話、ではあるのか? 色々危うさはあるけれども、ホラーなのに基本的にはちゃんと説明してあるし、何の意味であるか、みたいなところもまあわかりやすいほどにやっているよなー。序盤から、性差の問題を取り上げた作品であることはめちゃくちゃ強調されいてるけれども、その意味では終始一貫しているなあ、という感じ。

こういう話だとあの家がそもそも何の比喩であるか、というのが大事になってくると思うんだけれども、「育児の大切さに囚われた女性が現実世界と切断されて暮らしている」というのは、まあ普通に意味づけすることができるわなー。執着に囚われた化け物となった彼女に、最終的に苦しみながらも引導を渡すのが女性主人公……というのも図式としてはわかりやすいというか。まーしかし、そうなってくるとやっぱりアメリカにおけるデトロイトの役割ってのがわかってると、もっとこう納得感が増したりしたのかなーとも思った。