うーん、この作りはどうなんだ? そりゃまあそういう落とし方もできなくはないだろうけど……あんな露骨にミスリードしたから、まさかそっちのオチで落とすのはないだろうなーとも思っていたけど……普通恋人が殺人を起こしたなら、法廷で自分が犯人だと名乗り出ないのはおかしいとは思っていたけれども……でもさー、だからといって、やっぱりあの夜にそんな無茶な犯行って全く現実的じゃないよなあ。アリバイ作りに不確定要素が多すぎるでしょ。
いやまあ、そういうミステリ的な味方をするべき作品じゃなくて、もっと内面で、ヒロインがあのような強行に至りうるその心情にフォーカスするのか、という内容なのかもしれないけれども。いやでも、「迫害されてきた」という、ハッとさせられる内容を展開するには、ちょっと説得力がなくないか? と思ってしまう。っつーか、迫害って自分の姿を客観的に見られないと成立しないと思うんだけれども、あの環境で自分が差別的な待遇を受けているとか、わかるものかしら? 端的に、男性への恐怖とか、対抗心とか、そういう感情を抱くまではわかるんだけれども……このヒロインが社会一般を的確に捉えているのがなんかこうピンとこないっつーか……
いやでも、「辺境で育った少女がイノセントであって欲しい」という自分の視点こそが、そういう偏見に囚われているって話? そういう願望込みで見ると、まあ確かにラストの構図の逆転こそが、作品の狙いではあるわけ、なのかしら……?