ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

キャッツ

 

キャッツ [Blu-ray]

キャッツ [Blu-ray]

  • 発売日: 2021/02/03
  • メディア: Blu-ray
 

く、くそやべー! ミュージカルは見たことないけど、これ、良くないよね。信じられないくらい良くない。ビックリ。

まずは第一に見た目の問題がある。というか、根本的に見た目はめちゃくちゃ見た目は大事なんじゃないかと思う。こんなのストーリーらしいストーリーもなくて、各キャラクターの特徴に刹那的に感情移入していって歌と踊りで楽しくやろう! みたいな話のはずなのに、そもそも根本から感情移入しづらいキャラデザになってるのはもう致命的なんじゃないのかなー。慣れとかそういう問題じゃないと思う。

でまあ、そんなとりとめもないストーリーに芯を通すべき役目はやっぱり主人公が負っていると思うのだけれども、その主人公への感情移入のできなさがやばい。というか、なんなのあの最初の袋から出てくるシーンのカット繋ぎ? あれ細切れでイマジナリーもバンバン踏み越えて、混乱を表現するようなカットだと思うのだけれども、その混乱ってすでに混乱をさせられている主体者である主人公に共感ができているからこそ成立するヤツでしょ? それがないままガチャガチャカットを切り替えるものだから、もう最初から焦点が合わなすぎて「マジでどうでも良い」という気分にさせられたよ。身体的な動作って、もうそれだけで人間の注意を惹きつける力があるはずなのに、それをカットでズタズタに切り裂くんだもんな。まじでありえねーよ。

みたいな意味わかんねー混乱のシーンが怒濤の勢いで続いたものだから、ジェニエニドッツの素晴らしさは一服の清涼剤になったのだった。あそこで始めて「動きってのはそれだけで視聴者を感情移入させる働きが(本来は)あるんだな」ってことに気付かされたもん。あとはまあ聞いたことある「メモリー」堪能して終わり、みたいな感じだよホントに。

デッド・ゾーン

 

デッド・ゾーン(字幕版)

デッド・ゾーン(字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

うーん、いい……クローネンバーグいいな……ホラー要素のあるシーンが、基本的に編集でギョッとさせるのが本当に良い。当たり前の日常がスローモーションでとられるだけで異化されてしまうのも素晴らしい。うーん、いいな……クローネンバーグのホラーはいい……

スティーブン・キング原作の映画って、基本的にあまり映像化に向かないよなーと思っていたのだけれども、うーん、これはだいぶ良い感じなのではないだろうか。ってかさ、能力的にはだいぶ地味だよね。氷の中に落ちるところとか工夫はしてあるけれども、一瞬で事情を察知させなければならないから、情報量を詰め込まなきゃ行けないわけで。大統領の例のシーンは、その説明クサさにちょっと笑ってしまうのだった。

でもまあそこら辺の辛さを加味しても、あのラストシーンがあればオールオッケーという感じがする。最後の切れ味はマジで素晴らしいと言うか、理想的な映画の閉じ方だよなー。言葉じゃなく映像で見せる。素晴らしい。

あとはまあ当たり前だけど、クリストファー・ウォーケンは良いなあ。あまり前の映画は見ていないので歳を取ってからの印象しかないのだけれども、あーそうかーこういう役柄やってたんだなーめちゃくちゃ似合うなー。

いやー、クローネンバーグ今のところ外れた記憶がないぞ。もっと見よう。

スカイスクレイパー

 

スカイスクレイパー [Blu-ray]

スカイスクレイパー [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/09/04
  • メディア: Blu-ray
 

うーん、この空っぽ感。堪んねーなー。

国際都市香港に聳える経済発展の権化である超高層タワーって、それだけで象徴的な意味を帯びざるを得ない……と考えるのが普通なんだけれども、そこら辺をカッ飛ばして単にドゥエイン・ジョンソンの家族のストーリーのみに特化させるこの道具立てが、いかにも中国市場狙ってますねーって感じで最高。うがち過ぎです? いやでもかなり執拗に、アクションを見て一喜一憂する野次馬=観客を置いて視線を同化させる辺りとか、ものすげーそこら辺を意識しているようにしか思えませんでした。

とにかく小難しいことは省くために上の居住区画には主人公たち以外いません! 燃やすのは無人の区画だけです! みたいな割り切りとか、細かい必然性とかは全く考えずブオンブオン回る発電機の真ん中に接続ポイントがあったり、ただ見栄えのためだけになんの意味があるのかわからない現代的ミラールームを天辺に作ってみたり、もうそういう「こまけーことはいいんだよ!」の突き抜けっぷりが半端なく、まあそれはそれで心地良くはあるものの、いやでももう少し工夫しておけよ! とも思う。

あと格闘シーンで思ったんだけどドゥエイン・ジョンソンの体格が全く大きく見えないのが面白いですね。片足を切断されているのもそうだけれども、一応強く見え過ぎないように色々配慮されてるんだろうなーと思いました。

エルカミーノ

 

映画の撮り方をしているけれども精神性はまあいつものテレビシリーズって感じであり、映画としての満足感を求めて見るとだいぶ肩透かしかなあと思います。いつものように2時間が終わっていた、という感じ。それまでの積み重ねがあるから、普段よりはだいぶ情緒を感じるなあとは思うけれども……

このシリーズの緊張感を支えていたのは「嘘」だと思うのだけれども、それが失われてしまったせいで、まあ全体的にストーリーが弛緩するのはしょうがないところはあるよね。ジェシーってシリーズを通して様々傷を負わされてきたけれども、基本的にはストレートに自分の感情と戦ってきたキャラクターではあるわけで。

まーでも逆に言うと、「逃げ出したい」という希望を叶えるしかない、特に工夫のしようもないストーリーの構造で、普通にドラマを牽引できるってのは、まあすごいことではあるんだよなーきっと。ここら辺はドラマを作る人間としての根本的な体力が違うんだろうなーと思いました。

まあしかし、登場人物全員歳を取りましたよね。でもってそれはもちろん、ジェシーが最後に格の違いを見せつける説得力にもなっているわけで。

いやあ、まともにちゃんと見たドラマってなかなかないんだけど、さすがに面白かったなあ。

グッドライアー 偽りのゲーム

 

グッドライアー 偽りのゲーム(字幕版)

グッドライアー 偽りのゲーム(字幕版)

  • 発売日: 2020/06/03
  • メディア: Prime Video
 

うーんあほくさい。

根本的なことを言うと、こんなんいくらでもどんでん返しは可能で、ラストでじいさんの方が「と、騙されていたという芝居を打っていただけでした!」みたいなことだってできるわけだ。大事なのはひっくり返すことではなく、ひっくり返したときにどんな驚きがあるかの方で、そういう意味ではうーん、全然なにもなかったなーという感じ。「あの時のアレはこういう意味だったのか!」「この時彼女はこんな風に思っていたのか!」みたいなのが全くない。大体こんなタイトルなんだから、ラストでそのくらいのひっくり返しがあっても驚くわけはなく……

ナチスなんて大仰なバックグラウンドまで持ち出すんだから、そこら辺にうまいこと意味合いを持ち出すのかなーと思ったら、普通に「隠蔽された過去」以外の意味合いは見いだせず、動機なんて別になんでも良いじゃん……ベッドへの誘いでもっとしっかり伏線張っておくとかさあ、色々やりようがあるじゃないですか。

やっぱりばあさん側が余りにもスマートに「獲物」を演じすぎてるんだと思うよ。じいさん側にそこまではっきりとドラマがあるわけでもなく……いやもちろん、本物の愛への葛藤がなくはなかったのかもしれないけどさあ……だったらそれを受けてのばあさん側のドラマまでちゃんと織り込んであげなきゃダメでしょ……

 

リチャード・ジュエル

 

リチャード・ジュエル [Blu-ray]

リチャード・ジュエル [Blu-ray]

  • 発売日: 2020/11/27
  • メディア: Blu-ray
 

うーん、いまいちピンとこないなー。もちろん題材はとても面白いのだけれども、うーん、コイツをどうやって解釈したら良いものやら。いやまあしかしリチャード・ジュエルという人物の映画的な描写が、善と悪に揺れ動くのはちょっと楽しくはあるか。それはメディアのニュースを通して人物の善悪を判断する、一読者の視点よりはフラットであるものの、しかし監督の演出ひとつで「コイツあやしいな」とか「実はどんでん返しがあるのでは?」とか思わされたりする類のものなんだよなー。あと「ミリシア」という単語が出てきたりもしていたけれども、特に序盤の彼の描写はそこら辺の危うさをだいぶ孕んでいて、テロリストと一般市民をはっきり切り分けるのってやっぱ難しいよなーと思わされますね。

物語は物語的結末を用意するために、「真の犯人を見つけ出せ!」みたいに組織を悪にして勧善懲悪の物語へと回収されていくわけだけれども、そういうわかりやすい物語の構図に回収してしまうことの恐ろしさ、みたいなのは感じるよなー。母親の会見であの記者が流した涙とか、かなーりお座なりというか、「お前物語の流れがそっちになったからってそういう行動とっても良いの?」って感じ。そこら辺が計算されているものなのかどーかはしらんけど、まーでも根底にそこら辺の危うさを孕んだ構造の物語ではあるよなーと思いました。

シカゴ7裁判

https://www.netflix.com/jp/title/81043755

いやー、こういう反体制のポジショニングの映画がこういうストレートな演出で出てくるってのは、アメリカって国が分断されてるってことなんだろうなー。もっときちんと理性に訴えかけたかったら、普通こんな勧善懲悪のスタイルにしないでしょ。史実にどれだけ忠実なのかはわからないけれども、あまりに作意がひどくて鼻白む。最後に死者の名前読み上げることで感動的な音楽が流れてきてしまったときには、あまりのわざとらしすぎる演出に「え? これってギャグでやってる?」と疑ってしまった。

仕掛けらしい仕掛け……といえば、検察側の若い方なんだろうけれども、あれももう少しこう矛盾を抱えていてもらわないと、見ていてあんまり感情移入できないよなー。まあきっちり芝居してくれているとは思うのだけれども……まあ、子連れのエピソードがあったからギリセーフって感じなのかしら。

しかしこれ民主党大会に対するデモだったのね。「ベトナム戦争の記録」で取り上げられてたっけ? あんまり覚えていなかったけれども、ニクソンによる学生運動への弾圧のすさまじさがめっちゃ印象に残ってて、最初はすげえ混乱したのだった。裁判の中身に合わせて回想が語られる……という形式もまあわからんではないのだけれども、もう少し概要があってもらえた方が楽しめたかなーとは思う。