ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

007/ゴールデンアイ

007/ゴールデンアイ [Blu-ray]

007/ゴールデンアイ [Blu-ray]

  • ピアース・ブロスナン
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95年。ここでMがジュディ・デンチになるのね。そこら辺、ジェームズ・ボンドの女性観にも決定的に影響を与えているところはあるよなー。象徴的なのは冒頭で女性に対してセクハラを行うハッカー君が、悪者として描かれること。ギークな悪役が幼稚ないたずらを女性に働くことで、それまでのボンドのセクハラ紛いの出来事をチャラにしようってんだから、まあパソコンオタク君も良いように扱われているよねーという感じは正直する。ま、ラストの死に様も見事だったしいーんだけどね。ボンド役もサクッと変わったわけだけれども、なるほどコレはコレでたしかにボンドっぽいなーという感じはする。納得の人選。

アクションの質みたいなのもブラッシュアップされていて、手持ちを生かした撮影で緊迫感が格段に上がっているよなあ。現代のアクションってちょっとカット割りが激しすぎて何をやっているのかわかりづらいことも結構あるんだけれども、このくらいきちんとアクションを捉えようとする意識があるとみていて安心するなあとは思う。

あとまあ謎の女性悪役との絡みは、いやまあ明らかに歪なんだけれども面白かったなー。なんでそういうことする必要があるの? とは思うんだけれども、振り返って見るとジェームズ・ボンドに対してセックスアピールで負けないキャラクターってのはあんまりなかったので、あーこれも転換点だからこそ行われたキャラ付けなのかしら。

ボクらを作った映画たち: シーズン1

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Season3が始まったので、いい加減全部Season1を見終えないとなーと思って、『ダーティ・ダンシング』見終えた直後にドキュメンタリーも完走。「ダーティ・ダンシング」が「女性たちの映画」として強調されているのはうーんナルホドハリウッドという感じ。ずーっとそのあたりの意識はあるわけだねえ。

印象深いエピソードは色々あるけれども、やっぱり一番勇気づけられるのは『ダイ・ハード』かなあ……あの映画はある意味で完璧過ぎるというか、こんな作品どうやったら作れるのよ? という素晴らしい作品なワケだけれども、あれがある種の突貫で作られているという事実にはすげー勇気づけられますね。まあこのシリーズ全てを通して言えることだけれども、予算を通すのは常に戦いであって、その限られた状況の中でベストを尽くすことが、きちんと報われうる……というのは本当に素晴らしいと思う。潤沢な予算があって、完璧に細部にこだわらないと傑作ができないという、ありがちな思い込みに対する強烈なカウンターで、この競争精神がハリウッドの傑作を支えているのだなあと思います。

あとやっぱり、こういう苦労を経て作られた作品が、数字をきちんと出して傑作として認識されていく構造は、根本的に爽快感がありますね。まあ、成功した作品ばかりを選んでいるので当然なんだけれども、失敗した作品があるからこそ……という描き方にもなっているしね。

ダーティ・ダンシング

いやー、これってこんなに有名な映画だったの? 正直知らなかったのでめちゃくちゃビックリしている。『天使にラブ・ソングを…』の監督だったのね。なんで見始めたかというと「僕らを作った映画たち」に出てくるからで、この映画を見終えないとSeason1がいつまで経っても見終えられないんだよ……いや実際あのドキュメンタリーがめちゃくちゃ面白くて、それをきっかけで映画を見る現象が起こっている。良いことである。

映画に関してはきちんと素晴らしくて、「ダーティ・ダンシング」という大変刺激的でアピール力のある物事を中心に、高級な避暑地で身分違いの恋、親子の対立とその克服……というまあ普遍的な問題をストーリーに織り込んでいるわけで、いやあこれきちんとした脚本だなあと思いますよ。あとダンスによる恋愛に対して堕胎の適法性みたいないかにもアメリカな要素もしっかり織り込んであって、うーんそりゃあヒットするに値する内容だなあと思います。

がが、まあ根本的にこの映画の素晴らしさを支えているのはヒロインの美しさだよなー。時間の経過とともにダンスが上達していく、というのはそりゃまあそれだけで魅力的なわけだけれども、この映画ってその上達がストレートに女性の成熟というか、肉体的な魅力が増していくところを描いているわけじゃないですか。映像的には本能とか完成にきちんと訴えかける映画になっていて、これは本当に素晴らしいことだと思いますよ。

 

カルロス、そしてもうひとりのカルロス

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「ザ・ファントム」ってタイトルじゃダメだったか。そうか。

テキサス州のメキシコ国境の殺人事件の話で、いかに捜査がずさんで正義が軽んじられているかみたいな内容。終わってみれば、あーうん、いかにもありそうな死刑冤罪の話だなあという感じの納得感がめちゃくちゃある。

ただまあ、当たり前にやれば「ふーん」って感じの内容にも思えるのだけれども、きちんと最後まで見せるのは構成がしっかりしているからかなあ。序盤の「冤罪判決を下す側」視点の編集から始まって、途中で地域ぐるみの陰謀があったみたいなアングルで話を引っ張り、冤罪死刑囚の内面描写で感情を寄せてから、意外な突破口を経て犯人の姿と地域の実像に迫る……というかんじで、あー構成がロジカルーって感じがしますね。

しかしまあ警察の情報提供者っていうことをスラッと言って、しかしそこをそれ以上深掘りしないのは、「こういうの普通に良くあるよね」っていうこと以上のものではないのだろうなあ。普通、もっとこの事件の異常性みたいなところを糾弾する編集になると思うんだけど、そうせずにむしろ被害者の心情に寄り添っているのは、あーそれがもう当たり前のものと受け入れられてるんだろうなーって重い気持ちになる。

っていうか、あー、ブッシュ大統領の一言がきっかけで事件を解決したけど、そこら辺もテキサスの土地と絡んでんだろうなー。なるほどなー。

消されたライセンス

 

このボンドは余裕がなくなったなーと思っていたら、むしろその余裕のなさを生かすような脚本になっていてなかなかがんばっているなあと思った。まあアクションは仕方ないところはあるけど、脚本ではマンネリを避けるために色々やっているんだなーとみょーに感心させられる。まあ、こういう目的意識を孕んだボンドが面白いかって言うと微妙なところはあるけれども、でもダニエル・クレイグのキャラ付けみたいなところには繋がっていくのか知らねーとは思う。またヒロインふたりの取り合いみたいになるのも工夫しているなーというところだけれども、相変わらずボンドは見つめ合ってラヴ直行みたいな描き方になっているから、あまりそこら辺が上手く生かせているわけではないよなー。いきなり結婚式で「恋人を失った」みたいな意味深なセリフもあるので、全体的にそっちの運命の人に寄せたかったのかもしれないけれども、このくらいの展開じゃちょっと説得力ないよなーとは思う。

あとアメリカフロリダからドラッグ絡みの話で始まってニューエイジ教団とドラッグを繋げるのはなるほど時事ネタ……というかんじ。年代ごとに題材をとったものの背景がようやくみえるようになってきて楽しくはある。

自分人間の顔は全然おぼえられないタイプなんだけれども、ベニチオ・デル・トロが若くなっていてもわかったので、うーん濃い顔! と思いました。

ヨーロッパで最も危険な男: オットー・スコルツェニーとスペインの生活

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内容的にはまあまあ興味深いのだけれども、内容がもっと深掘りしてくれよーという感じで残念である。わざわざ時間軸を飛ばしてまで、CIAのスパイだったという秘密を引っ張っているのだから、ナチの南米逃亡ルートだったりモサドとの協力だったりのあたりとの関わりをもっときっちり掘ってほしかったなあ。ケネディ暗殺とか、思わせぶりに名前が出るだけで、おいおい本当に勘弁してくれよって感じ。ナチスの財宝をどこに隠しただのなんだのって話もそれで、おいおいそこまで言っておいてそれで終わりって勘弁してくれよなーと思う。

ともあれ、どこかで名前は聞いたことくらいあるけれども、実際どんな有能さを発揮していたのかは全然知らなかったもんで、うーん本当にこんなに活躍する人がいたんだなーって気がする。いや、だって戦後ナチスの残党でスパイじみた行為をしつつこんなネットワークで商業的にも成功しちゃうって、まあ有能だし大悪党だったってことでしょう。

というか戦後のナチスの残党って、社会的影響力を行使できた人も、やっぱり結構いたんだなあ。CIAの後押しもあったんだろうけど、改めて驚きがある。ただ第二次世界大戦ごのスペインの感じがあんまりよくわかってないのはちょっと困るな。ダリが戻ってくるようなイメージしかないので……

 

007/リビング・デイライツ

 

007/リビング・デイライツ [Blu-ray]

うーん、ジェームズ・ボンドが慣れない。動きがスマートじゃなくてガツガツしている感じ。今までのもったり感が良いかと言えばそうじゃないんだけれども、もう少し落ち着き払ってアクションして欲しい感じはあるなーと思った。

しかし主演が変わったこともあって色々と変化が見られる作品で、アクションはカットの長さが短くなっているのはそうか順当に変化はしてきているなあと思った。まあまだアクションそのものは牧歌的だけど。っていうかいきなりOPのスタントのレベルが普通になっていてガッカリした。いやまあ毎回すごいスタントするのが大変というのはわかるんだけどさー、さすがに今更車の上にへばりついてアクションされても面白味はないよなあ……

あと変化で言うと、クライマックス前で守られる側だったヒロインが積極的にボンドを救う側に回るというのはデカいよなーと思う。これまでも一応戦闘要員としてのヒロインが一緒に戦うみたいな展開はあったわけだけれども、今回は素人の守られヒロインがむしろ脱出のキーマンになるんだから、ちょっとずつ時代が動いているんだろうなーという感じ。

しかしなー、アフガニスタン戦争を背景に、地元民と一緒にロシア軍を倒すためにインフラである橋をブッ壊して「やったー!!」って喜ぶ流れになってるイギリスがマジイギリスって感じで爆笑したわ。橋を壊したあと、地元民がどれだけ苦労するかとか、そういうの気にかけないんだろうなって感じ。