ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

女は何を欲望するか?

 

女は何を欲望するか? (角川oneテーマ21)

女は何を欲望するか? (角川oneテーマ21)

  • 作者:内田 樹
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2014/03/20
  • メディア: Kindle版
 

エイリアンを4まで見終えたのでようやく完読できたのだった。

前半はわかりやすくフェミニズムの戦略が書いてあって、なるほどなーと思いつつあーうんうんわかるわかるって感じ。言語が通用しないという前提でコミュニケーションを断絶することがフェミニズムにとっての正しさなら、それはもう共に社会を築いていくことができないよねーと思う。

しかし言語の男女格差と言うけれども、そんなこといったら言語の中では男女だけでなく、多かれ少なかれ人種や職業によって格差はあるわけで、フェミニズムだけが持つ問題では絶対にないよね。我々が社会生活を送る上で不平等は前提として存在し、しかし我々はその社会を抜きにして活動できないわけで。現在の社会をブッ壊してゼロから作ったところで恐らく問題は変わらず、だから我々は社会という不完全なツールを用いて漸近的にしか改善していけない……って話ではないのかな?

あと、それが昨今のインターネットに見られるフェミニズム的な運動とどんな関連を持っているの? という疑問はやっぱりある。特に日本では、ここまでラディカルに言語を振り回して暴れるフェミニストを見た記憶がなく、知り合いに教えられてこの本を知って「ふへーこんなロジックで運動している人がいるんだー」とビックリした次第。少なくとも自分の観測範囲ではそんな人はおらんよなー。そもそも人間として対話する能力がないよね、という人が暴れているのは見かけることがあるけど。

ジュマンジ / ウェルカム・トゥ・ジャングル

 

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル 4K ULTRA HD & ブルーレイセット [4K ULTRA HD + Blu-ray]

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル 4K ULTRA HD & ブルーレイセット [4K ULTRA HD + Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア: Blu-ray
 

新年早々なかなかひどい映画を見てしまったなー。

無印の『ジュマンジ』をちゃんとは見てないんだけど、派生の『ザスーラ』は見ていて、それと比べるともう全く入り込めなくてなー。だって、ボードゲームによって主人公のいる世界そのものが影響を受けてしまうことがあのボードゲームの一番の面白さでしょ? 「えー自分たちの住む家がこんなことになっちゃったよ!」っていうとんでもなさと、それを呼び起こすボードゲームっていう有無を言わせぬ求心力があるから成立するやつでさー。「コンピューターゲームの世界に入り込む」「死んでも復活できる」「NPCが存在する」みたいな「いかにもうまく設定を取り込みました」風の仕組みがが、オリジナルの面白さを完璧に殺していることに気付けないんじゃ、この映画もう根本から全くダメだよね。

もちろんストーリー展開もひどくて、ゲームだからというなんでもあり設定を言い訳に、思いついたことをガンガン入れるクソ展開。しかもそれぞれのエピソード、そこまで絵的に面白くなくね? 思いつきで石を落としたと思ったら、突然サイがグルグル回り出してビックリしたよ。動物博士を連れてるんだったら巨大蟻でグルグルとかそういう感じにしとけば良いのにねえ……あと空から落下するコントラ方式をラストで使うんだったら、それまでそのやり方で失敗するようなパートもあって良くて、ヘリでバラバラにさせるとかしちゃってもよかったんじゃねーの? ってか、いちいち落下の下敷きになるギャグとかで面白く感じる人いるのかね?

火の鳥

 

火の鳥 1

火の鳥 1

  • 作者:手塚治虫
  • 出版社/メーカー: 手塚プロダクション
  • 発売日: 2014/04/25
  • メディア: Kindle版
 

いやあ……圧倒的だ……手塚治虫は当然すごいすごい言われてるけど、今まで読んでて「まあ当時はすごかったんだろうね」みたいな気持ちがなんだかんだあった。でもね、これはすごい。あー手塚治虫ってこんなすごいマンガを書いていたんだーというのがやっと感じられた、気がする。遅い。

どうでも良いギャグが入る所とかは、いつも「えーそこでそれ茶化すの?」とか思っちゃったりもした。輪廻転生がスピリチュアルに過ぎてそこどうでもいいやと思うところもあったりした。あーこれは多分連載で構成とかそんなにきっちり詰めながら駆けるようなものでもないのだろうなあという感じもした。でもこんだけのスケールの話を、こんだけの圧力で、しかもこれだけ実験的に描けるっつーのは、まあ絶句するしかないでしょう。天の羽衣の回とか恐れずやれる? いやあ……

本当になんなんだろうなあこのスケール感。時代を軽々跳躍して、次々とアイディアブチ込んで、まあよくもこんな話が描けたもんですわ……SF的なワンダーもそうだけれども、一番印象深いのは日本の歴史への傾倒で、そんなに歴史から題材とってくるのねーとビビりました。いやー、すげえなあ……

すばらしき映画音楽たち

 

すばらしき映画音楽たち [Blu-ray]

すばらしき映画音楽たち [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2017/11/22
  • メディア: Blu-ray
 

ハンス・ジマーがね、作曲依頼された後に「逃げ出したくなる」って言ってるんですよ。あのハンス・ジマーがですよ? 「こいつどこから声出てんだ」ってくらいの低いボイスでですね「ジョン・ウィリアムズに頼んでくれ!」とか泣き言漏らしてるんですよ。もうね、笑うしかない。おまえがそんなこと言ってどーすんだと。おまえほどの作曲家でもそんなプレッシャー受けるんかと。まあそんなハンス・ジマーの魅力満載のインタビューが全編通して大量にあるだけでもめちゃくちゃ楽しい作品であります。

映画音楽の通史の合間合間に色んな音楽エピソードとか実際の制作現場の様子とかが挟まれるというオーソドックスな構成で、まあ見ているだけでも楽しい楽しい。俺もさすがに映画をそこそこ触れてきたので、この映画で出てくる映画は9割くらいは見ているってのもあるんだけれど、それにしたってメジャーな音楽のオンパレードで大変心が躍ります。『キングコング』って音楽的にもすごかったんだなーとか、流れにあんまり関係なく突然差し込まれるモリコーネってやっぱ説得力あるよなーとか、バーナード・ハーマンは存在感あるよなーとか、あーそうか『2001年宇宙の旅』じゃなくて『猿の惑星』なのかーとか、あとジョン・ウィリアムズはバケモノだよなーとか、まあ俺みたいな素人でも面白い面白い。

でもこういうドキュメンタリーを見ていて楽しいのは、やっぱり心から映画音楽に撃ち込んで楽しんで尊敬している現場の人間の表情が見えるからだよねー。ハンス・ジマーがジョン・ウィリアムズをたたえるだけでもう嬉しくなりますよそんなん。

エイリアン3

 

エイリアン3 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

エイリアン3 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2018/03/16
  • メディア: Blu-ray
 

そしてデヴィッド・フィンチャーなのか……いやー本当に豪華面々が撮ったんだなー。

映画の内容は、「あ、デヴィッド・フィンチャーだからしょうがないか」となってしまうところがたくさんあって、いやしかし前作のエンタメオバケなキャメロンとどうしたって比べちゃうよなーという感じ。いきなりの設定から前作・前々作が男性/女性を中心のテーマに置いてあるのをかなり意識しているとは思うんだけど、しかしこの作品でそれがうまく生きているかっつーとよくわからんなー。序盤にリプリーが秘密を明かさなくて、それに呼応するように医者の方も秘密を隠す、みたいなやり取りは確かにデヴィッド・フィンチャーっぽいなーとは思うものの、しかし映画としては全然うまく行ってないのではなかろーか。

アクションもあまり良いデキとは言えず、見所のはずの迷路ダッシュは何やってるか正直サッパリわかんなかったよね。例によってなかなかくたばらないエイリアン君の手前で感動音楽が流れ出すところは爆笑だったけど、その後の放水フィニッシュホールドはさすがに説得力がだいぶ足りない。

そもそもキャラに対してなかなか感情移入できない、というかそもそもキャラの見わけがあんまりできていない。挙げ句リプリーも行動原理が全然良くわかんないし、最後にはバシャーンってやっちゃうわけでしょ?

男女の寓話でやるんだったら、もうちょっとそこをきっちりやって欲しかったよなあ。宗教の関わりもあんまりよくわかんなかったし……うーむー。

エイリアン2

 

エイリアン2 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

エイリアン2 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2018/03/16
  • メディア: Blu-ray
 

いやージェームズ・キャメロン! 紛うことなきジェームズ・キャメロンって感じ。すげー。ってか今までテレビでの流し見だけでちゃんと見てないの恥ずかしいですねーこれは。いやー満腹おなかいっぱい。

前作の舞台から始まったりヤケに火炎放射器にこだわったりフィニッシュホールドが同じだったりと、まあ全編にサービス精神を発揮しつつ、でも本筋がきちんと進化しているのがすごくいいよなー。リプリーは前作では男性の中で対等に振る舞う女性のロールモデルだったのが、今作では母親としてのロールモデルを引き受けていて、おーなるほどこうなるのかーと感心。父親のいないシングルマザーでございますね。あとマザーコンピューターへの「ビッチ」が女王への「ビッチ」に進化しててそりゃあ爆笑。

しかしジェームズ・キャメロンにおけるアクションの「それそれ! それが欲しかったんだよ!」ってエンタメ感はいったい何なんだろうなあ……変に凝ったりせずに、ちゃーんと欲しいものが欲しい形で来る感じ。単騎で子供を取り返しに行くところの絶対的に正しい感とか、パワー・ローダーがあそこで出てくる説得力とか、うーんエンタメ力が圧倒的でビックリしてしまうなあ今更だけど。

エイリアン

 

エイリアン/ディレクターズ・カット (字幕版)

エイリアン/ディレクターズ・カット (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

熱が上がってきてちょこちょこフェミニズム系の本を読んでいるんだけど、内田樹の『女は何を欲望するか?』がまあだいぶ面白くて、さあ一気に読み終えるぞーと思ったら後半に突然映画の分析が入ってエイリアンをシリーズで解説し始めたのだった。そして自分は実はエイリアンの1しか見たことなかったので「うーんこりゃもったいないなあ」と思ってまーついでだしと思って年末年始でシリーズ見るかーとなったのだった。

でまあ、1は一応見たことがあるんだけど、改めて見るとうーんリドリー・スコットはすげーなーとなる。これと『ブレード・ランナー』を立て続けに撮るとかマジ信じらんねー。いやー、すごいスタッフと仕事してるよなあ。

改めて見ると大変面白いのは宇宙船内の美術のバリエーションで、よくもまああんなに手を変え品を変え印象にバリエーションつけるもんだなーと感心。結構たっぷりじっくりな人間ドラマだけどちゃんと狭い室内の間が持ってるもんなー。そしてたっぷりじっくり焦らすエイリアンの引っ張り方。自分ホラーってあんまり怖いと思わないんですけど、これならまあわかるかもしれない。

あとはフィニッシュホールドと言いますか、「これで終わりですよ」という説得力が大変良いですね。見ている方の思考を先取りするテンポ感はマジで堪らないなーと思いました。