ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

キス・オブ・ザ・ドラゴン

 

キス・オブ・ザ・ドラゴン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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さ、さすがにこのフランスの描き方はないんじゃないの!? と思ったらリュック・ベッソン制作なのかよ脚本もやってるのかよ。まあそうだよね余所の国の人間じゃあんなにアホっぽく警察書けないものね。いやまあしかし自国の人間だってあんな風に悪役を設定しちゃえますか? よっぽど警察が嫌いなんだろうなーつくった人たち。っていうか中国人を犯人にして本国からお偉いさんまでおびき寄せちゃって、さすがにちょっと後先考えなさすぎてヒく。

しかしまあそこら辺のめんどいことはさておいて、ジェット・リーのクンフーを堪能するためにある映画と考えれば別に腹は立たない。ストーリーなんて邪魔で、なんか途中で薬中のエロいヒロインのサービスショットがあればオッケー! とはいえアクションにアイディアがあったかというとウーンべつにって感じだよなあ。アイロンカンフーは面白かったけど。なぞの白髪兄弟? のほうが全然キャラが立ってたし。あと針は徹頭徹尾謎。

しかしジェット・リーはコメディしないなあ。この映画だったら異文化の間でもうちょい笑いがあるべきつくりな感じもするけれど、全力でストイックな真面目エリート演じきっちゃうんだもんなあ。

ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男

 

ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

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かっこいい! タイトルから痺れる! 丸ごと一本映画を堪能させていただきました! って感じ。素晴らしい。

まーとにかく冒頭のチャーチル登場までのつくりとかが大変見事で、そうそうエンタメ映画ってのはここまで適切に省略しなきゃねえって思わされる。最高。

作り込みきった絵作りもまあ大変楽しくて、議会の光差し込むライティングやら闇をそろそろ上がるエレベーターやら国王との裸電球ひとつでの和解やら、光を過剰にコントロールしている感じが大変よろしい。シンメトリーな構図はいちいち決まっていて、こんなに魅力的にロンドンを映されると溜まりません。あとは俯瞰と視線を感じさせる目のアップが映画のテーマをきちんと見据えていていいですね。いやー、いちいち感心。しかしドリーで映すロンドンの街並み、最初の1回はハイスピードカメラじゃなかったよね? あれってわざとなのかしら。見ててすげえ引っかかったのだけどなんなんだろう?

話としては、何よりもまず『ダンケルク』の知識があって大変良かったねという感じ。救出作戦をワンカットでビシって省略してしまったのもまた映画っぽいですね。あと、政治モノには良くあるアンビバレンツに悩む人間の話ではあるのだけれども、描き分け方が大変巧みで感心させられた。タイピストの兄のエピソードから、段階を経て地下鉄のエピソードへと繋がっていくのはだいぶ正しいですね。

あとイギリスの身分制度ってやっぱはっきりしてんだなあ。後半でそこら辺のテーマが急にぐぐぐっと持ち上がってきてびっくりした感じがなくはない。

殺人の追憶

 

殺人の追憶 [Blu-ray]

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これは面白いなあ。こういうタイトルだからもっとバイオレンスで過激な作品かと思ったら、めちゃくちゃユーモアとペーソスとあとは底の抜けたようなキモさがあって、ずいぶん洒脱な映画という印象。ボン・ジュノは『グムエル』で「変な映画!」と思ったけど、まあ確かに一筋縄ではいかないよねえ。

連続殺人事件が起こったら、人の興味はすぐに犯人はどうとか謎が解けるかとかそういう方向に向いてしまうのだけれども、この映画はそんな興味を巧みにコントロールしつつ、普通に田舎の村の人間を描くことに注力しているのが面白い。あそこまで丁寧に予感を煽っといて、夜道のすれ違いでスッとドラマの主軸をズラしてしまう感じ。あるいは犯人にたどり着く目前で、列車にはねられてしまう感じ? ちゃんと絆創膏だのニセナイキだののエピソードをを回収して、大変芸が細かいですねえ。それにしても韓国の街中での追いかけっこはなんであんなに面白いんだろう。障害物競走にうってつけって感じがする。

あとはなんか知らないけれども足の映画であって、いちいち靴のエピソードが印象深い。中でも面白いのは跳び蹴りで、いやあやっぱアクションとして有無を言わさぬ面白さがあるよねえ。なんてことはないはずのに、体当たりっぷりにいちいち笑ってしまうよ。

新宿インシデント

 

新宿インシデント [Blu-ray]

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年取ったジャッキーがアクションを封印してヤクザモノで芝居、という狙い所は大変よくわかる。ジャッキーを日雇いの不法滞在者にして、底辺始点から異文化に馴染んでいく様を描くのは構造としてとても正しい。天津甘栗屋台のエピソードなんかは、普通にとてもいい。

でもなー、下手に日本のヤクザものに近い場所を舞台にするからかしらないけど、お話が結構どうでもよくてなー。こういう世界観ならジャッキーが目の覚めるようなアクションをすると色んな出来事がなあなあで解決してもらった方が全然いいというか。そういう意味では竹中直人もミスチョイスって感じ。ってかシリアスな竹中直人ってパト2でしかみたことないのではなかろーか。

いやまあとにかく決着の付け方が「わっしょーい!」って感じで爆笑してしまう。それまで曲がりなりにも積み重ねてきた各所の軋轢やらなんやらが、無意味な銃撃戦で全部ポーンと放り投げられてしまう感じ。ってか新宿にアレだけ大量の石あります? 偶然性がストーリーを転換させるつくりって難しいんだなあと改めて思わされちゃったよ。

あとリアリティの作り方がかなり微妙で、兄弟分がゴリゴリのビジュアル系になって再登場してしまったのは本当に爆笑した。のだけど、多分アレがバブル前後の新宿を中国人の視点で捉えた姿なんだろうなあ。当時の新宿は全然知らないので、ああいう印象を持たれていたとしても納得してしまう。というかああいうわけのわからない町であって欲しいよね。

ゲーム

 

ありゃー? ずいぶん前に見てたんだけど感想を書き忘れていた。たまにこういう作品があるな。『ハッピー・フィート』とかも見てたけど多分感想書き忘れた。

デヴィッド・フィンチャー作品は結構見てるんだけど、あんまり触れられる機会のない作品ですよねこれ。自分もクレジットで初めて「あ、こんな作品撮ってたんだ」って知った。

のだけど、作品としては確かに取り上げられる回数が少ないのもわかる出来だよなあ。こういう虚と実が入り交じってどっからどこまでが本当かわからない建て付けは、まあいってしまえば創り手のさじ加減でどうにでもなっちゃうわけで、「どれが真実なのか」というのを真面目に追いかけてもバカを見る。普通に考えて、いくら保険を掛けてるからって、ラストのダイビングみたいな命を懸けさせる芝居を親族にさせるとかあり得ないでしょ。整合性を考えたら、実は主人公は死んでいて、ラストは主人公の願望だったみたいなオチの方がよっぽどマシ。

だからこういう作品は、むしろその虚実が入り交じった浮遊感の中で、一体どんな面白体験をさせてくれるのかってところに比重を置くべきだと思うんだけど、うーん、そこが全然ピンとこなくてなあ。そもそもマイケル・ダグラスにちっとも興味が持てないのが致命的。ファミリービデオを思わせぶりに挿入されたところで、いったいどんな風にそれを見たら良いのか……そんな仰々しいトラウマ解消の話だっけ?

あと余談だけどもし俺がこんなサプライズを受けたら絶対本気で兄弟を殴り倒してる。絶対。

 

モンキー・マジック 孫悟空誕生

 

モンキー・マジック 孫悟空誕生 [DVD]

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最近の西遊記ハマり繋がりで読んだんだけど、いやーやべー。ドニー・イェン主演でこんな映画見せられるとは思わなかったよ……

まーその、猿の属性をどうやって取り込むかってのは大変重要なテーマだろうけど、この作品は完璧にそこら辺の扱いに失敗してるよなあ。孫悟空に全然感情移入できないのは、こういう有名ヒーローを主役に据える作品として致命的だと思う。いや、ヒロインの狐をアレだけ人間に近づけるなら、猿だって普段もっと人間っぽくていいじゃない。猪八戒沙悟浄みたいなコメディーリリーフもなくて、人間味のある笑いみたいなのが全く用意されていないのは、だいぶ厳しいです。

で、その厳しさをさらに後押ししているのは映像のヤバさで、うーんいまだかつてこんなにヤバいCGを見た記憶はないなあ。っつーか、せっかくドニー・イェン主演なのになんでこんなドラゴンボール的バトルに終始しちゃってるんですかね? 孫悟空繋がりだから? ワイヤーの芝居とCGの動きが同期してなくて、慣性とかが考慮されてない動きがホントに気持ち悪い。ケバケバしい色使いは、中華感もありアゲアゲな感じで、まあ、なしではないかなーとは思うんだけど、でもやっぱり薄っぺらで規模感が出ないのは作品の空気を台無しにしちゃってるよなあ。

これでもちゃんと向こうじゃヒットしてるらしいから、西遊記ってのが中華圏ではだいぶ人気があるんだろうなーとは思うけど、うーん……

Ray/レイ

 

Ray/レイ (字幕版)

Ray/レイ (字幕版)

 

レイ・チャールズの映画である。お話も音楽ももうお腹いっぱい食わされた感じ。

こういう実在の人物をモチーフに選ぶとどうしたってストーリーは散文的になるというか、そんなに物語化できるはずもない現実からあえてなにを選び取るかのほうが重要なんだなーというのが最近ようやく理解できた。この話は薬中レイを正当化するために過去の兄弟を失ったトラウマを延々描く内容になっていて、まあお話としてはわかりやすいけれどもそんなはっきりわかりやすく描かれすぎるとさすがに鼻白む。純粋にヘロイン気持ち良かったのがデカいんじゃないのか。成功のために周囲の人間が次から次へと変わっていくのは、これかなり良い塩梅で描かれているけど普通に考えてレイの方に原因がありそうだよねえ。というかこんな状況でよく嫁さんは離婚しなかったもんだわ。

アトランティックレコードを去ってからの成功というのが物語的にはちょっとどーなのって感じなんだけれども、実際移籍したあとの名曲名曲名曲の連発にはぐうの音も出ないよね。薬物逮捕で創作物が発禁、みたいなパターンは最近よく聞くけれども、まあこれだけの名曲を書かれたらまあそりゃしょうがないよねー曲と人格とは別でしょ? とか言い出してしまいたい気持ちは正直ある。セクハラ問題があったからって、タランティーノ作品やピクサー作品の価値がなくなるわけでもないしなあ。