ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

メトロマニラ 世界で最も危険な街

 

メトロマニラ 世界で最も危険な街 [DVD]

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あいや、これは良い映画ですね。序盤は手ぶれと被写界深度の浅いカメラがしんどくて、うーんこういう撮り方全然好きじゃねーんだよなーと不満タラタラでしたが、都会に出てからの丁寧な辛い日々の描写がまあ大変しんどくとてもよろしい。弱者が日々虐げられながらも少しずつ幸せを手に入れていく様子を奇をてらわずにじっくりじっくり描いていて、歯医者のエピソードとか本当に上手いなーと思う。そんな幸せな日々が裏切られるのは当然見通せる展開ではあるけれど、あの主人公ががんじがらめになっている状況をよくあんなに上手く描いたなあと感心。でもこの映画で優れているのはそこからの「転」、意外なアクシデントで相棒が死んで周囲の見え方が一変するあのシーンで、ああやって自ら転落を選ばざるを得ないバランスを用意するのはほんとに素晴らしい。それまで純朴な元農民だった主人公が、自分の選択としてあっちの道を選んでしまうことに、めちゃくちゃ説得力があるものなあ。でもってこれどーするの? という状況に『羊たちの沈黙』クロスカッティングできっちりとオチをつける結の鮮やかさも抜群。ラストに謎のポエムで情緒までバッチリ付与しちゃったりなんかして、いやー、ほんと良くできてる脚本ですわコレ。まさに「起承転結」の見本みたいなシナリオ。素晴らしい。