ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ゲームウォーズ

 

ゲームウォーズ(上) (SB文庫)

ゲームウォーズ(上) (SB文庫)

 
ゲームウォーズ(下) (SB文庫)

ゲームウォーズ(下) (SB文庫)

 

で、ゲーム・ウォーズである。リンクを張ったらtoi8って名前があって何事かと思ったら、あー、これは映画公開で表紙が変わったヤツなのね……

基本的に大変面白い作品ではあるのだけれど、映画『レディ・プレイヤー1』を観た後だと、いやあ映画化って大変だしスピルバーグは良い仕事をしたんだなあ、っていうのがよくわかります。ってかこんな原作よく真面目に映像化する気になったよね、ホントに。どう考えてもこれ文字媒体だからできるやり過ぎ小説じゃないですか。それをあなた、原作よりよっぽどやり過ぎでビジュアライズしてるんだから本当に呆れます。掛け値無しにすげえ。しかしさらにすげえのは、あー、橋本忍が牛の血を抜く話をしてたけど、ホントに換骨奪胎して映像向けの作品に翻訳してあったんだなあ、ってところ。いやあ、こんなに違う話になっていたとはなあ……

まあこの小説は文字媒体の強みを生かして、視点を主人公に固定してレベル上げの辺りから丁寧にやっているので、なるほど全然理にかなっているなあと思う。面白いのはやはり現実敵地潜入シーンの描き方で、原作ではそれまで主人公の計画によって綿密に計算された一発逆転の見せ場なので、逆に徹底的に現実での派手な活動を控えて描写してあるのよね。それをもうちょい偶然性に頼りつつ視点分割してアクションに重きを置いた映画版の翻訳も、うーん大変良い仕事していますねって感じ。映画の現実アクションシーンが必ずしも手放しで褒められるとは思わないけど、映像化に当たっては正しい選択をしたんだと思います。

あとはやっぱり問題の焦点をハリデーとオグの関係性に焦点を絞った映画版の判断はすごかったのだなあ、というところ。小説版ではコミュ障ハリデーの現実に戻れメッセージの出方がちょっと急で、ラストもちょっと鼻白むところがあるのよね。ハリデーの姿をライブラリで観られるようにした映画の表現は、感情移入に対してもものすごく効果を発揮していたのだなあ、と感心させられました。

なんか長々いかにスピルバーグがすごかったかみたいな話になってしまった。いや、小説版もめちゃくちゃ面白いですよ、ホントに。