ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ストレンジャー

 

オーソン・ウェルズINストレンジャー [DVD]

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ヒッチコックを連想させるサスペンスを、最小限の人物と道具立てで巧みに語っていて、うーんこいつは傑作でありますね。46年の映画だけれども所々ぎょっとするような真新しい感覚もあって、いやーホントオーソン・ウェルズはキレキレだなあ。なんでそんなにこの映画の名前を聞かないんだろう。

まあなんにせよ冒頭のパイプ折りからの一連の流れが見事ですよね。ほとんどセリフでは語らず、パイプを見せるだけでどのような状況が展開されているかを知らせてしまうという……戦争の記憶が色濃い中であのシチュエーションであのライティングの演出をされたらビビッと来ちゃいますよねえ。

しかし入れ替わりとか追跡対象が死人とか放置されたカバンとか、なんか笑っちゃうくらい道具立てがヒッチコックっぽいよなあ。ヒロインが犯人になびくちょっと捻った展開も思わず「それそれ!」って笑っちゃったもん。

とはいえヒッチコックよりも映画っぽさ? みたいな? 感じは漲っている感じもして、窓覗きからのクレーンの長回しのスケール感とかはおーコレがオーソン・ウェルズって感じがしますね。ヒッチコックは技術とかアイディアのために映画をこしらえてる印象あるもんな。いや私そういう作り方も好きですけれど。

ところで映画のストーリーは後半ちょっと着地に失敗している感じもして、時計のシーンはやりたいことはもちろんわかるけどちょっと間抜けな感じもありますよね。あとはアリバイ作り、さすがにその雑さはないだろうと思わなくもないですが、その後のクライマックス本名を呼ぶシーンが撮れたら万事オッケーか。いや、あの本名呼びはホントいいシーンですね。