ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

能 650年続いた仕掛けとは

 

能 650年続いた仕掛けとは (新潮新書)

能 650年続いた仕掛けとは (新潮新書)

 

「夏目漱石の入社した頃の朝日新聞は今で言えばニコニコ動画」「能が古典を舞台化したのは今の2.5次元と同じ」このふたつのパワーワードだけでもう読んだ甲斐があるというものです。爆笑。

まあ日本の文化は明治維新+終戦で大きな断絶があるわけで、こういう古典芸能の文脈が全然わかんないのも当然だよなあ。謡について延々効能が書かれているけれども、残念ながら自分にはそもそも謡って文化がうまくイメージできないもん。そのくらい断絶してしまっている。もちろんカルチャーセンターとかで学ぼうと思えばいくらでも学べるのだろうけど、本文中にも書いてあるとおり既にある古典文脈の借用とか見立てとかで成り立ってる部分が多々あるわけで、それって例えばジョジョと2chを知らない人間にポルナレフコピペの面白さをどう伝えるか、みたいな感じなワケじゃないですか。当たり前の日常の風景として使っていないと、理解するの無理ゲーって感じがするよなあ。

観客が受動的ではなく能動的に関わらなければならない、というのはキーポイントですよね。最近日本庭園なんかにもちょこちょこ出かけるようになったので、そういう見立てによって光景が変わるのは大変エキサイティングだなあと思いつつある。映画とかだと受動的に観ていても全然楽しい作品が多いので、時々こちらの思考を強要するような作品にぶち当たると理解できなくてそっぽを向いたりしちゃうのでもったいないよね自分も含め。『ドッグウィル』じゃないけど、そこに積極的になにかを観ようとして確かに見えてくることはあるわけで、そこら辺の効能を考え直す良い機会になりそうです。