ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

逆噴射家族

 

逆噴射家族

逆噴射家族

 

『狂い咲きサンダーロード』しか観てなかったから、まさかこんな理知的な映画だとは思ってなかった。いやー、参りました。

真っ先に思い出すのは『ドント・ブリーズ』でアレも家の中に監禁される物語だったけれども、じいちゃんの内面として描けるはずの家の描写が微妙で大変不満だった。その点この『逆噴射家族』の象徴としての家の描き方は最高に良くできていて、っていうかむしろ主人公の内面と物理の家をいかにして結びつけるかだけに注力したお話って言ってもいいよね。主人公が家族の対立を解消するために地下を掘るのはそのまま彼の内面の掘り下げだし、そこでシロアリにぶち当たるのは自分の家=常識が如何に危うい土台の上に立っているかの暗喩でしょ? 家に板を張って外面に出られなくするのは自分の内面に向き合う合図で、そこで初めて自分こそが狂気に囚われているのではないかという問題に向き合ってバトルロイヤルというのは、もうなんか圧倒的に正しすぎて参りましたって感じ。のところに、映画表現としてギリギリの線で描かれるマンガライクなキャラクターたちが、手ぶれ上等の主観カメラでバンバン殺し合うワケでしょ? 工藤夕貴が女子プロ衣装で縛られちゃうわけでしょ? いやー、最高。最高ですわこれ。脚本のロジックに表現の方法がマッチングしたときの快感をこれだけ味わった映画はないかもしれんなー。

でまあ、そういう構造の下敷きがあるからこそ、ラストの「家を壊す」という行為が圧倒的な説得力で迫ってくるわけで、そんな理屈を飛び越えて心に刺さる白く飛びまくりの青空家族。いやはや、参りました。すごい。