ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

図書迷宮

 

図書迷宮 (MF文庫J)

図書迷宮 (MF文庫J)

 

メタメタしいことをメタメタメターっとやってその志自体は買うんだけどそもそもコレ全体的に話がどうでも良いよね。コレって「作者/読者(主人公)」の話をやっているとか作中では明言されてるけれども、作品内で語られてる「読者(主人公)」と作品を読んでいるオレら現実世界の読者の距離が圧倒的に遠すぎる。まあこれは俺が感情移入を安易に求めてしまうタイプの読者で悪い癖だなーとは思うんだけど、思うんだけど、やっぱりメタを扱う作品においては、作者と読者(オレら)の間にどれだけメタ的な構造を超えた共感を持てるか、というのが大変重要だと思ってしまうのだ。ぶっちゃけこの話だってラストに「…というお話でした」をつければ安易に無限後退していけるわけじゃないですか。で、作中でその可能性が示唆されている以上、それ以上後退しない保証のない物語の支点が必要だと思うんですよ。でで、たぶんこの作品はヒロインとの絆にその責を負わせようとしたんだと思うけど、うーん、はっきり言って彼女あんまり魅力的じゃないよね。そもそも主人公の行動原理を「命を救ってくれたから」という「恩義」に還元してしまうのはあまりに良くない。それって自分のために何か利のある行為をしたからそれに対して利を返すってロジックでしょ? でも人を好きになるってそういう動機じゃなくて、なんの利もなくても彼女のために行動したいと思える何かが必要なわけで、その点を読者に納得させるようなヒロインの行動が作中にあったかと言われれば、うーん、ないんじゃないかなあ。類型のヒロインがいかにもな動機付けを持った主人公によってありがちな感動的ストーリーの枠組みにそって雰囲気で彼女を救わなきゃ! しているように見えてしまった、というのが正直な所。