ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

弱キャラ友崎くん Lv.1

 

弱キャラ友崎くん Lv.1 (ガガガ文庫)

弱キャラ友崎くん Lv.1 (ガガガ文庫)

 

うーんガガガはブレないなーちゃんとこういう青春小説をクオリティ高く仕上げてくるんだもんなーすごいなー。

もちろん個別のハウツーエピソードも良くできてるのだけれども、全体の構造が何よりもしっかりしてて素晴らしいよなあ。リアルをクソゲー認識していた主人公が、ライバルの存在で考え方を変えるという二項対立の圧倒的な正しさ。自分の世界観とぶつかるガールがミーツしちゃった所で、ボーイが異世界に足を踏み入れるそのロジックの描き方でまず満点。難易度高いあの導入を、主人公の行動原理を立てつつエンターテインメントとしてバッチリ描かれたら、前提条件のスーパーヒロインの異質さなんて「まあ物語の前提条件だからしょうがないよね」くらいに霞んでしまいますよ。

そしてさらに素晴らしいのは1巻のクライマックスの描き方で、リアルワールドにゲームのロジックを持ち込んで逆襲をかける主人公っていう構図が大変素晴らしいですね。彼のロジックはもうひとつの世界観でナンバーワンを勝ち得た強度を持っているわけで、それをぶち当てたことでリアルワールドキングのライバルさえ怯んでしまう、というのを明示してカタルシスにするその手管は、いやーマジで上手いよなあ。

しかしなー、あのヒロインが目の前に出てくる時点でクソゲーじゃないんだよなあ。物語的因果関係のために当てられた救済キャラナワケで。本気でリアルワールドクソゲー説と戦うんだったら、理不尽でヒロインが死ぬとか、いやまあそれはちょっと劇的すぎるけど、そういう物語の枠組みから外れた理不尽クソゲーイベントを起こすとかしなきゃならんよなーこれ。しかしその理不尽な現実に主人公が自分のゲームロジックを現実に当てはめることで克服するという感じの。バグ技を利用してクソゲーの見方が変わる、みたいな展開。できるかなー。