ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ブリングリング

 

ブリングリング (字幕版)

ブリングリング (字幕版)

 

なんか最近こういう映画を立て続けに観てる気がするなあ。『ペイン&ゲイン』が良すぎたせいか。あるいはLAってことで『ショート・カッツ』を観た直後だからか。

まあ何にせよ、人間の欲望を巡る物語である。のだけど、映画のトーンはすげえ不思議で、勧善懲悪を全く企図していないように感じられるんだよなあ。のっけからヒロインはごく当たり前のように知らない人間の車のドアを開けて盗みを働く。そこに良心の呵責は存在しない。自分には欲望があって、ここには欲望を叶える手段がある。じゃあ、その欲望を行使して一体なんの問題がある? ってあっけらかんとした感じ。欲望は人々の原動力となり、メディアは欲望を煽ることで社会を機能させ、ググればサクッとセレブたちの家が見つかる。家に忍び込むの普通じゃね? それってしょうがなくね? みたいな無垢さ。

映画は合間合間の回想で進む体だけど、後から思い返しても登場人物は自分の欲望を持て余している感じがすごくする。自分の行動に理にかなったストーリーを当てはめようとして、しかし現実の欲望の強烈さが型から飛び出してしまうような。いやむしろ逆に「なぜ人は物語に勧善懲悪であり行動の規範を読み取ろうとしてしまうのか」が問われるべきなのかしら。