ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ハドソン川の奇跡

 

クリント・イーストウッドってほんとアメリカについての映画を撮り続けてんだなあ。映画の中で星条旗がこんなに目につく作品を撮り続けるのもすごいっつーか。

内容についてはそんな大した話ではなくて、ラストのNTSBでの糾弾は普通に考えればザルで、あんなの非現実的な判断力だってのは一発でわかるし、「タイミング」なんてどーしょーもないヒントで主人公に気づかせるやり口ははっきり言って稚拙。唯一の不安材料だったエンジンの問題も、尋問が始まった時点ですでに結論が出ているわけで、この映画を支えるサスペンスは一種の茶番と言って差し支えない。

でもまあ、「化物の正体見たり枯れ尾花」じゃないけど、あらゆるサスペンスとは一種の茶番であって、それ自体はたぶん問題ない。むしろそこで注視すべきはそんな緊張状態で主人公がどのような行動を取るかという点で、何度も繰り返される幻覚に悩まされ、妻との電話で将来への不安を抱えながら、パイロットとしての過去を振り返りながら矜恃を保とうとする主人公の姿には心を打たれる。

で、だからこそ、ラストで挿入される現実の夫婦の姿でジーンとくる。映画が現実に繋がるというのは、『アメリカン・スナイパー』でもあったよね。メディアに踊らされる英雄の虚像が迎える結末は対照的だけど、こういう終わり方があっても良いよねえ。