ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ウは宇宙ヤバイのウ! ~セカイが滅ぶ5秒前~

 

ウは宇宙ヤバイのウ! ~セカイが滅ぶ5秒前~ (一迅社文庫)

ウは宇宙ヤバイのウ! ~セカイが滅ぶ5秒前~ (一迅社文庫)

 

あーすごいなんか懐かしい感じのSFだ。『成恵の世界』とか思い出すよねこれ。内容的に今風のラノベにアップデートしきれてるかと問われるとうーんなんかよくわからんがもうちょっと普遍的なラノベっぽいよねという感じもして、なんかこう笹本祐一? とかの方がちけーんじゃねーかなーとかも思うがまあしかしこの内容だったら作者もそっちで全然悪くないと思ってそうな気も。

いやしかしもちろんきちんと面白くつくってあって、幼馴染みブラックホール胃袋の下りは出色。こんなギャグっぽい設定なんで必要なの? って思ってたら、小説ならではの筆致でバコーンと地球の危機を救っちゃって、こういう文章だけが描けるワンダーがあるのは素晴らしいなあと思った。伏線を掻き集めて加速度的に宇宙の謎に主人公の出自が関わっていく最後の種明かしも大変良い。

しかしなあ、序盤の辺りの食い足りない感じはもう少しどうにかならなかったのかなあ。あまりにベタな入りでありながら、キャラクターもそこまで過剰ではなく……キャラクターのやり取りがこなれていてストーリーの語り口もスマートだからこそ、ちょっと物足りなさを感じてしまった。キャラの挿絵も合わせて、もう少し印象に残るキャラクター造型だったらなあ、と思う。