ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ブエノスアイレス

 

ウォン・カーウァイの映画はかなり観てたんだけど、なんでこの作品をスルーしていたのか意味がわからない。同性愛映画とか結構見てる方だと思うんだけどなあ。

しかし、なんなんだろうこれ。もちろんウォン・カーウァイ独特の絵作りに溜息が出るし、主演のふたりは熱演だし、で見所が大量にあるのはわかる。あるんだけど、なんかこう、すげー言語化しづらいって言うか。ストーリーは結局メチャクチャシンプルで、その他の出来事は大体全部枝葉末節、なんだけど、その枝葉の部分がむしろ作品の心臓である、みたいな。愛し合うふたりが重ねる日々、引き裂かれた後の日々、それが断片的に描かれて、その積み重ねこそが心に響くというか。突然ズガン! と差し込まれる地球の裏側カットのあのジーンとくる感じはなんなんだろう。脚本とかそういうレベルじゃ全然ないよね。主人公が彼を求めることと、地球の裏側の故郷を想うことに、論理的な繋がりなんてないわけだし。論理からの飛躍があるって本当に憧れるなあ。

なんて余韻に浸りながらWikipedia見たら、えー、トニー・レオンの同性愛者役への拒否感がすごくてビビる。画面からはそんなニュアンス全然感じなかったけどなあ。いやむしろその拒否感との微妙な力関係が画面の緊張感を作ってたのか? いやあ、面白いなあ。