ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

アントマン

 

アントマン (字幕版)

アントマン (字幕版)

 

エドガー・ライトの映画だとばっかり思っていたのだが、監督違っちゃってたのね。「お、エドガー・ライトだね!」みたいなユーモア溢れるシーンの素晴らしさと、そのユーモアを映画の中でうまく機能させられていない監督の手腕に、絶望的な才能の差を勝手なイメージで感じてしまって辛い。いや役割分担はオレの想像にしか過ぎないけど、ともかく歪な演出の完成度に閉口。

いやだって、部分部分は最高に素晴らしいじゃないですか。ヘリコプターから落下するケース内での戦闘の素晴らしさはもう図抜けていて、それまでアントマンのアクションをどのようなスケールで扱って良いか混乱していた作品が、同じサイズのライバルを迎えることでようやく正しい描き方を手に入れるわけですよ。外の世界は完璧に切り離されたケースの中、粘性の強い世界で描かれる、重力無視のミクロバトル! プールに落下するあの瞬間まで、本当に素晴らしすぎて失禁するかと思った。

のだけれども、そこから先の展開がちょっとひどすぎませんか。いや、トーマス模型を使ったアクションは素晴らしいと思うんですよ、ユーモアたっぷりで。でもそのバトルの間に入れる人間スケールの視点、なんであんなに冷水をぶっ掛けるような演出を続けるの? なんでクライマックスで子どもがミクロのお父さんの戦いを見つめてるシーンで、わざわざ静寂挟み込んで「こいつらの戦いは所詮このスケールなんですよ、ほら、皮肉が効いてるでしょう?」みたいに現実を全面に出すの? 信じられない!!

中盤以降アントマンの縮小拡大バトルの素晴らしさや、アリを使役して戦うヒーローの目新しさなど、優れた表現はたくさんあっただけに、本当に残念な作品。ってかそもそも序盤から、語り口のこなれてなさがきつかったよなあ。