ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

コーマン帝国

 

コーマン帝国(字幕版)
 

ジョナサン・デミが亡くなったそうなので、気になってたこのドキュメンタリーを。

スコセッシも懸念してたように「ロジャー・コーマン」って時々名前は見るけれども全くリスペクトはしてなくて、正直「あーなんか予算に厳しい人ね」ってイメージしかなかった。クレジットに「ロジャー・コーマン」って出ると「あーロジャー・コーマンね」って映画への期待値が一段下がる感じ。でもねー、よくよく考えてみると今漠然と映画を観るだけの俺がそんなに名前を意識するくらいロジャー・コーマンに当たっているというのが驚きで、普通B級映画なんて時代の波に呑まれて忘れ去られるわけでしょ? 作中の映画、なんだかんだでいくつかは見てるんだもん、それってすげーことだよね。

ドライブスルーで観る映画とかスコセッシ・デニーロのデビューとかアメリカン・ニューシネマとかスター・ウォーズとか、そこら辺の映画界への知識が点でしかなかったんだけど、それがまさか「ロジャー・コーマン」って補助線を引いただけで明確に物語として理解できるようになるなんて、本作を見る前は全く想像してませんでした。ま、スコセッシは言葉が上手いからかなーり盛ってあるとは思うんだけど、それにしたって与えた影響は大きいんだろうなあ。イングマール・ベルイマンまで引っ張ってくるとは思わなかったもんなあ。そして遅ればせながらそれをきちんと評価するハリウッドの懐の深さよ。

あとはやっぱり登場人物が強い、っていうか強すぎる。そうそうたる映画監督の顔ぶれにもうそれだけで圧倒されるし、オスカー授与のタランティーノのスピーチでもうオレ我慢堪らず泣いちゃうよ。パム・グリアの紹介でもう、待ちかねちゃったもんなあ。そして何より誰よりジャック・ニコルソン。もうね、ズルいよあの人。永遠にジャック・ニコルソンの話を聞いていたい。LSD話の面白さたるや!

 

なんつーかさ、映画人が皆、どうしようもなく映画を愛しているのが画面から伝わってくるんだよなあ。そしてその愛の象徴として、ロジャー・コーマンが存在しているって感じ。いやあ、映画ってすごいなあ。憧れるなあ。