言い方がどこもかしこも留保に満ちていて、いやまあそれは確かに学問上は正しい態度なのかもしれないけれども、読んでいる方としてはもう少しなんかこうはっきりとしたことが聞きたいなあ、とか思ってしまう本だった。優しい説明で色んな説を取り上げられても、その面白さの滋味はやっぱ専門家じゃないとわかんないんじゃないかなあ。
内容はあっちに行ったりこっちに行ったりで、いやまあしかしそれも面白いんだからそれはそれでいいのかしら。しかし栄光と衰退の歴史を現代の日本から見ることで……みたいな冒頭の感じとはずいぶん違った場所に着地したような感じはします。いやまあ面白いんだけど。
近代史という括りで産業革命前後の流れを描いているのだけれども、うーん、やっぱりジェントリってのがイマイチ良く理解できてないんだよなあ。イギリスの本を読むときはそこら辺の感覚をもう少しきちんと身につけた方がいい気がする。
しかし暦の話とか中国との対比とか、今まで色んな世界本で見かけた知識が繋がっていくのは快感である。