ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

すばらしい新世界

 

すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)

すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)

 

『グレート・ギャッツビー』でも描いたけど、いやーこの訳で読めて良かった良かった。

こういう古典ってお勉強として手に取る率も結構高いと思うんだけど、お勉強として読むと内容の面白さそれ以前に読んだことそれ自体に満足してしまうのは良くあることで、どこら辺をとっかかりにして読み解けば良いのかさーっぱりわからんのはしばしば。もちろんソレは読む側の知識の問題なんだけど、その当時の社会情勢とかバッチリ覚えてからじゃないと面白ポイントに気付くことすらできない、ってのはどうなんだ。やっぱりそこは気付かなきゃいかんのだろうけど、でもつらい。

でで、この訳はその点が大変良くて、おーなるほどそういうことかーという注釈が山盛り。もちろん注釈の人物全員の来歴は、はっきり言ってほとんど知らないわけだけれども、このキャラはこういう意図の元に描かれたのかなーというのをなんとなーく察することができる、というかむしろ逆に「えーフォードってそんな捉えられ方される存在だったの?」というのがわかって面白い。大変面白い。

いわゆるディストピアもの? の古典なワケで、世界観設定に関しては既視感がつきまとう。けれども、いやしかしほんと皮肉で皮肉な筆致だよなあ。これだけの分量をこのブラックユーモアというか世間への悪意というか、そういうもので知的に書き切ってしまうのは、いやほんと正気の沙汰じゃないなーと思いました。