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ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

クロニクル

 

視点を意識させる映画が増えたのはデジタル化が進んで動画が簡単に撮れるようになったからだろうか? とはいえ神の視点ではないカメラであること、もうちょっといえば視点に対して何らかのアプローチを行っていることで成功している映画というのはあんまり思い出せない。『パラノーマル・アクティビティ』は検証映像という自然な動機付けにホラーにおいて、カメラのフレームが「見せること/見せないこと」という恐怖を掻き立てる根本的な効果を発揮している、という点において成立していたように思える。『クローバー・フィールド』も怪獣映画を人間視点で撮るという大変わかりやすく強力な動機があるし、あの視点だからこそできる気の利いたラストになっている。でも最近観た『ブラック・ハッカー』とか、「策士策におぼれる」じゃないけれども、技術的にできるからやってみたになっていて、それが作品全体に寄与していない、ということもままあるわけで……あー、ちょっと違うけどヒッチコックだって『ロープ』で似たような感じになっちゃってるわけだよね。

で、『クロニクル』。いやー、ティーンエイジャーの私生活に異能を溶け込ませようとしたとき、ホームビデオライクな視点が要請された、というのはわからなくもない。友達同士のイタズラシーンはやっぱりそれっぽい。でも根本的には「なぜ撮影を行っているのか?」という動機付けが薄くいのがかなりデカイ。全体を通して、主人公の動機付けに苦しんでいる映画だと思うんだけど、内面のブラックボックスをさらに拡大しているように思う。そもそもこういう生っぽい映像で内面を描写するのって難しいよね。家族との関係や世の中への怒りを『食物連鎖だ……』的モノローグで処理されても全然納得できないよ。

後半になって手を変え品を変え様々なカメラで格闘シーンを撮るけれど、クライマックスの顔アップシーンとか、突然いかにも「映画らしい」アングルが差し込まれると強烈に萎える。だったら最初から神視点でいいじゃん! 展望台からスマホとかカメラとか浮遊させて対峙するシーンとかも、いやアレマジで何の意味があんの? 「あらゆるところにカメラがある時代」というのを描写する意味とか引っ張ってくるなら、それこそヒーローもののテーマに直結させられるんじゃないの? 「素晴らしい」とはっきり言えるのは恋人が巻き込まれた人間で撮る車内映像だけど、あのシーンを用意するために記録ばかりしている変な女をストーリー上用意しなきゃ行けないのははっきり本末転倒だと思う。別にあのシーンだけ主観視点長回しを編集的に差し込みゃいいだけじゃん。

内容的には『AKIRA』なんだろうけど、あの映画の「上下関係」のようなストーリー全体を支える構造が見当たらない。友達同士の視点で……といういかにも「捻くれた視点で物語を構築しました」という趣向のみが先行しているように思える。だったら『ルーシー』みたいにストーリーを振り切って映像的な面白さに全ブッコミしてもらった方が僕は好きです。