ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

都市と星

 

都市と星(新訳版)

都市と星(新訳版)

 

クラークやっぱスゴイわ。当たり前だけどすごい。いやーすごい。

正直なところ、わかりやすいエンターテインメントからはかけ離れていて、いやあの序盤の女の子どうなっちゃったのよ突然完璧に消えてるじゃん! とか普通に考えるとそういうわかりやすい文句がある。なんでこの枠組みで先生が一番の理解者みたいな位置に納まっちゃってるの? とかホントに思う。

でもなー、うん、そんなチンケなエンターテインメント的欲望を遥か置き去りにして語られるスケールとアイディアに脱帽だよなあ。序盤の読者と主人公の視点を微妙にずらしつつ、しかしその世界の謎を解かなければならない、そしていずれ都市の外へと旅立たなければならない、みたいな予感を敷いて世界の説明をしていく辺りが本当にもうたまらん。なんかもうあの辺りの細部を辿るだけで最高に楽しい。

のだけれども、様々な冒険と異種コミュニケーションを経て宇宙へ、歴史へ、そして神話とかそういうレベルにまで話の内容が飛躍していくと、もうなんつーかその、あまりの倉クラークっぽさに脱帽するしかない。科学的な思索を展開して展開して展開した後に語られる、銀河・宇宙を巻き込む善と悪の戦いみたいな語り口に、あーもう何かすいませんって感じになる。

いやでも実際、『幼年期の終り』のオーバーロードとか、自分そんなにピンときてなかったんだよなあ。主人公の視点をテコに幾度もの異種コミュニケーションを繰り返した果ての飛躍だったから、感情的にも納得できたのかもしれない。