ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

花様年華

 

花様年華 [Blu-ray]

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よく一緒に映画行く友人がウォン・カーウァイ好きで俺も付き合って結構見てるんだけど、映画館を出てから反省会で「眠い!」という話を良くするハメになる。いやその友人も好きなんだけどやっぱ眠くなる。いいのかそれで。まあでもそういうものなんだろうなあウォン・カーウァイ。だって名前の時点でもう眠そうだもんウォン・カーウァイ

で、本作も覚悟しながら観たのだけれども、これがもう全然眠くなくてビックリした。嫌ゴメン嘘全然というのは言い過ぎ。でもあんまり眠くない。驚いた。本当に驚いた。これってたぶん自分が単純なストーリーよりももう少し広い視点をもって映画を捉えられるようになってるからで、多分5年前なら寝てた。

いやまあだってストーリーなんてもうあらすじでネタバレ喰らうような不倫された者同士の話、ってのが明らかになった時点で大きな動きないわけじゃないですか。あとは散文的な人と人のやり取りと極端な省略とやりきれないラストと。表面的なものだけに興味を持ってもそりゃ寝るよね。寝るわ。

でもちょっと映像に意識を向けると、例えば香港の建物事情を踏まえた狭い画面構成で前ボケを入れつつカッコいい絵ガンガンキメたりとか、言葉よりも余程饒舌な陰影と煙とスローモーションのマジックだったりとか、それまで柔らかく遷移していたカメラが不倫告白で衝撃的に動いたりとか、手前に柵を置きつつ浅い被写界深度で手前と奥を行き来する女性の姿をフレームの出し入れでチョーかっこよく描いたりだとか、ラストのカンボジアでようやく現れる空と思いきやそれでも遺跡にフレーミングされて閉塞感があったりだとか、そんなもう見所満載の映像に夢二のテーマが夢見心地で流れてくるもんでもう気持ち良くて寝そう。うんやっぱ眠い!

いやでも面白くて眠い映画があってもイイよね、うん。