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ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

こどもの一生

 

こどもの一生 (集英社文庫)

こどもの一生 (集英社文庫)

 

たしかこのアイディアって中島らものエッセイでは何度か読んだことがあって、本人もかなり気に入ってるっぽい印象があったのだけれども、小説になっているのは知らなかった。

序盤はなんかずいぶん書き飛ばしてる感じがして、うーんらもさんも最後の方は大変そうだったしなあ、ああそうかコレって舞台なんだっけと思い直してから読むとこれが全く違和感なく読み進めることができてちょっと驚いた。個々の描写を舞台上の役者自身のリアリティが担保すると考えた途端、スカスカに見えたギャグが大変生き生きして読めたのよね。なんだか今までにない読書体験で大変面白かった。あと、あとがきでも書いてあるとおりここら辺は口述筆記パートだったのね。

だから後半で自ら文字を起こす辺りから、その位相がガラッと変わったのもすげえ印象的だった。前半では明らかに舞台を前提としたストーリーの進め方だったのが、突然「これどうやって舞台でやるんだ?」という展開になって、疑問に埋め尽くされたまま小説ならではの描写にグングン引き込まれていってしまう感覚。まあでもさすがにそれまで全然そういう役割を果たしていなかったキャラクターが突然覚醒して格闘技蘊蓄を語りつつバトルし始めるのは笑ってしまった。

ホラーの恐ろしさってリアリティや整合性の脱臼に求められるのかなあ、と常々思っていたのだけれども、それを立証するようなストーリーだよね。ラストにきちんと理性の内側で整合性を取ってしまうのは、エンターテイナーとしての実直さだよなあと思う。