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ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

29とJK ~業務命令で女子高生と付き合うハメになった~

 

29とJK ?業務命令で女子高生と付き合うハメになった? (GA文庫)

29とJK ?業務命令で女子高生と付き合うハメになった? (GA文庫)

 

いやーわかるよ半沢直樹ラノベフォーマットに載せたいんでしょ? 別に中年ハゲのモテないおっさんを主人公にしろとは言わないけど、とりあえず「目つきが悪くて人に誤解される」くらいの妥協点で29歳男子を主人公に電話処理の下っ端視点から会社の組織のあーだこーだなドラマつくりたいんでしょ? で、それだけじゃラノベにはきっついからJKというキャッチーな要素をブチ込みつつ、んーさらにインパクト入れたいなそうだ例の小説書くヒロイン属性入れて主人公がティーチングしちゃえばラブラブシチュエーションも作れちゃって一石二鳥! みたいな感じでしょ?

もうね、不安と打算が丸見えだよ。いや別に不安と打算は持ってて良いよ。でもさ、それに押し潰されてそれぞれの要素が最初から持っている構造を曲げちゃったらダメでしょ?

 

そもそも「ボーイミーツガール」は出会うはずのなかった異なる世界を持つふたりが接点を持つことでその差違を巡る物語になるのが普通で、価値観のギャップや経験の有無や意見の対立がストーリーの推進力になる。『JKと29』はまあそのタイトルが端的に現すとおり明らかにそういう構造を取ってる。では小説家志望のお嬢様純粋無垢JKと元ワナビ社畜29の間に生まれつつ緊張感持たせることができるギャップって、何? 物語の前半を引っ張った恋愛感の違い?

いやいやちげーだろこの構造から導き出されんのは明らかに小説って「夢」を諦めているか諦めていないか以外にありえねーだろ!!

なんでこんな構造的に明白な対立項を無視して挫折を過去の物として処理しきって後輩の夢への旅立ちを躊躇なく応援するナイスガイ29歳社畜なんてクッソイージーな性格付けにしちまったんだ? おかしいだろ! 対比で求められてんのはワナビをこじらせて夢破れて「でもオレ社会人だしー」って夢を諦めた自分の傷舐めつつ社畜生活する29歳だってば! JKの唯一の利点である「キラキラした夢への希望」に対して嫉妬を抱きオトナとして「無謀な夢は諦めなさい」と諭しつつもでもやっぱり自分もそんな彼女と接するうちに過去の傷が疼き出す……という対立で両者に緊張感メチャクチャ持たせられんじゃん!
そんな目映いJKの影響が燻る29歳社畜マインドに火を付ける、という前置きを敷いておけば、後半の半沢直樹展開がなぜこのタイミングで起こったのかのこれ以上なく明確な原因になって、29ミーツJKすることで状況が動き出す正しい物語構造になるじゃん! それがないから「JK」「29」が分離して前半と後半の物語の接点が見えづらくなって「あー流行り物を追って混ぜたのね」というクッソくだらない感想が頭の中に出てきちゃうんだよ! 読んでる方も悔しいんだよ!

わかる! わかるよ主人公をストレスフリーな最強キャラにしたくて弱み持たせたくないのは! でもさ、このタイトルでこの内容でこのテーマで、物語がここまで明確に示している構造を曲げたら絶対ダメじゃん!!

地の文でアンバランスなほど饒舌に語られるおたくパロディ文言もさー、あれ明らかに殺伐とした社畜ライフを乗り切るための武器としての過去の夢の象徴じゃないっすか。夢を諦めてしまった、でも諦めきれないワナビの心の叫びって再解釈、いいと思うんだけどなー。

 

いや妹をはじめ脇にずらっと並ぶキャラはステキだし、地の文も大変心地良いし、後半の会社パート展開は良く書けてるし、部分は全然悪くないと思うんですよ。ただJKがあまり魅力的じゃなかったり普通に最初の恋愛パートが効果を発揮していなかったり後半ストーリーが分離してしまうのは、もう明らかにこの物語において「夢」がどのような役割を果たすかについての考察不足だと思います。

JKが他人に自分の夢を初めて預けるシーン、手渡された小説を読むあのシーンを、スペシャルな演出入れずに流れで書いちゃダメだよ、ホントに。