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ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

デッドプール

映画
 
「ここら辺噛み合ってないんじゃないかなー?」という点は多々ある。
まず一番重要な「彼女が醜い自分の姿を受け入れることができるのか」というテーマが全く問題になってないのは結構大変で、あんな「街中の人に変な目で見られる」程度のエピソードで周囲に自分の顔を見せつけるのが辛いというのはストーリーとしては余りに弱い。そもそもああいう恋愛の仕方をしたヒロインが外見で主人公を嫌うなんて可能性は全く想像できない。
洒落た語り口でごまかしている「ヒーロー以前」「ヒーロー以後」の転換もイマイチで、拷問とヒーローへの覚醒が第四の壁を越えて呼びかけアニメを見る原因になったことが明示されていないのはかなり惜しい。明確な幻想見と共に主人公の一人称が「オレちゃん」になったその瞬間を印象的に描くことができたなら、恐らく第四の壁を越えるその態度そのものが彼のバックグラウンドを強く物語るものとして印象づけられたはずだ。
高度な撮影テクニックによってずいぶんごまかされているが戦闘シーンのバリエーションというか趣向のなさもかなりヤバく、もしあのなんであんな場所でやったのかよくわからない廃船上でのラストバトルがもう少し理にかなった場所で、しかもあんなとってつけた爆破破壊じゃないクライマックスを迎えたら、ラスボスの強さに限度があるにせよカタルシスも結構あったんじゃないかなーとか思う。
 
が、が、しかし。それらもまあこのヒーローならアリなのかも知れんなあと思えてしまうのがこの映画の素晴らしいところで、この手数と技術とそして何よりキャラクターで語られたら、100分強の時間なんてあっという間に過ぎ去ってしまうのだった。っつーかシンプルに削ぎ落とされた脚本を映画技法で手数を増やし難しいことは考えさせずブン回しアクションは純粋に技術で見せあとは全力キャラ勝負! というこの映画の方針はまあ正しいよなあ。主人公もそうだけど、周囲のキャラクターの良さにはちょっとビックリしてしまう。何だよあのバーの人。なんであんな正直さが美徳なの? あの立ち位置のキャラ付けってちょっと素晴らしすぎるよなあ。
あとビックリしたのはやっぱり洒脱なオープニングから飛んで続く車内の戦闘シーンで、あの狭い場所での一対多戦闘をあれだけ明快にスピーディーにエンターテインメントとして仕上げたのは本当に素晴らしいことだと思う。シチュエーションとしては「頭上からおりてきて車の中で戦う」という本当に地味なシーンで意匠もクソもないんだけど、脚本に依存しないテクニックであんな純粋に魅せられるんだなあ、とだいぶ感動した。