ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

中古でも恋がしたい!

中古でも恋がしたい! (GA文庫)

中古でも恋がしたい! (GA文庫)

まず大いに違和感を抱くのがヒロインに「中古」という「非処女の女性への蔑視が含まれる単語をタイトルに含むその姿勢」だ。いくら作品内で「中古」という単語に対してフォローが入ろうとも、その単語自体が女性への蔑視を明確に示している単語をタイトルに用いるその神経を疑う。確かにタイトルで人目を惹くことが需要な状況になっているとはいえ、限度はあるはずだ。俺は激しい嫌悪を覚える。
作品は「現実と美少女ゲームの対比」を「ライトノベルという美少女ゲーム的世界観」で表現するという矛盾を孕みながら進行する。その矛盾は上手く扱えば作品の重要な推進力となるはずなのだろうが、考察がはっきり足りていないように思う。
決定的なのは最後の山場で、主人公が美少女ゲームを現実に対抗する心の縁としているのならば、「美少女ゲーム的な役割を真似る悪役」の立場を矮小化させてはならないはずだ。「美少女ゲームにおける困難の解消とはこの程度のものである」という作者自身の美少女ゲームへの軽視がそのまま、書き割り以上の何物でもない悪役の描かれ方に示されているように感じる。