ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

垂直の記憶

垂直の記憶 (ヤマケイ文庫)

垂直の記憶 (ヤマケイ文庫)

最終章がすごい。
その他の章も、自分には全く想像もできない世界を常に垣間見せてくれていて、非常に興奮しながら読んだのだが、最終章の迫力は別格だった。衝撃的としか言いようのない序文に、本編の時間がついに追いつくあの瞬間!

作品の章は閉じられても、筆者の人生は続く。あとがき・解説を読んで、作品のタイトルをもう一度見返したとき、過ぎてしまった記憶の重さと、しかしさらに上へと登ろうとする筆者の純粋すぎる想いに、身体が震えた。

「なぜ山に登るのか」「そこに山があるからだ」なんて一種の様式美だ、なんて漠然と思っていた自分のアホさ加減を恥じる。
山を見れば登らずにはいられない人が確かにこの世の中にいるのだ。彼らは身近にはっきりとした死を感じながら、しかし自分の衝動に従わずにはいられないのだ。