ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

集団美少女戦士キューティー・パンツァー

「うおすげえこれどこまでバーの高さ上げんのブプカか!?」と思ったらそのままバーの下を走り去ってゴールテープを切られた感じである。参った。


平行世界を採用し主人公がメタ化した視点を持つことで、相対的にそれ以外のキャラクターは重みを失っていく。
平行世界の各ヒロインを属性で差別化することで逆説的に属性以外での同一性の保証が無いことを示し、さらにその各ヒロインを全26話というテレビシリーズ的な枠組みに収め使い捨てにすることで、ヒロインと主人公の関係性が完璧に置換可能なものであるということが描かれる物語の前半部は、正直最近読んだメタ系ライトノベルの中で最高峰に思えた。

コレを天然でやっているのならすごい嗅覚なのだろうし、もしかしたら時代的にこういう物語のフォーマットが要請されているのかもしれないなあ。


で、この構造を取った以上、「父親から与えられた無意味な物語群という枠組み」を「主人公が持つ唯一の物語」がどう乗り越えるかが作品の焦点となると思うのだが、その克服の支点が「ヒロインの幼い頃のトラウマ」ってのは、えーと、ない。「ヒロインのトラウマ」なんてそれこそ「幼い頃の忘れていた約束」くらい類型化された物語で、それが無意味な物語群の一つであることはすでに作品中で示されちゃってるわけで。正直全く感動とかカタルシスとかないよ。
それを雰囲気で「物語」なんて言葉でまとめ上げようとしているように見える辺りも、なんていうか、信頼できないなあ……


読んでる途中で『ラグナ・クラウン』の作者だと気づいた。
ギャグは全然こちらの方が面白く、きっと単話に区切られた小説のフォーマットが効果的に機能したのではないかと思う。発想のぶっ飛び方なんかは、とても良いんだけどなあ……