ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

羽矢美さんの縁結び

 

羽矢美さんの縁結び (一迅社文庫 ふ 1-1)

羽矢美さんの縁結び (一迅社文庫 ふ 1-1)

 

 とにかくヒロインの行動が気にくわなくて、いったいどこにその原因があるかずっと考えていた。

「男女がお互いに好意を持っているが、それが外的な障害に邪魔されている」という状況で、障害を壊すために暗躍するヒロインの話であれば、おそらく何も反感を抱いてはいなかった。
しかしこの小説のヒロインは、まずはお互いに恋愛感情を持たない男女の相性を見定め、そこにふたりがお互いに好意を持ちやすい状況を作り出す。無論第三者であるヒロインに、恋愛感情を直接生み出すことはできないが(他人の心をいじれる人間はいない)、しかし「彼女がいなければふたりの間に恋愛感情は生まれなかった」。言い換えれば、ヒロインは自らの意志で第三者の人生を変えてしまう。

もしかしたら自分はこのヒロインの行動を、「一流企業に入りやすいために、息子を塾に通わせる母親」と同様の視点で見ていたのかもしれない。
善意で行動しているのはわかるし、その行為を正当化することもできるのかもしれないが、それってある意味不遜な態度じゃないのか?
そして他人の人生を変えてしまうほど重大な決断をしているにもかかわらず、そのヒロインの信念がきちんと正当化されているようには思えない。少なくとも自分は、読んでいてヒロインの行動を支持できなかった。