ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

アストロノト!

アストロノト! (MF文庫 J あ 5-1)
赤松 中学
メディアファクトリー (2007/11)
売り上げランキング: 2985
おすすめ度の平均: 4.0
4 ナキアミのメイド服姿がかわいかった
4 活きのよい新人さん
4 SFロマンラノベ


正直ロケットSFに多少の思い入れがある自分としては、ロケットの象徴性に対する考察が明らかに食い足りない。このストーリーなら「ロケットに資金をかけすぎて失業者が出た」「ロケットは兵器に転用できる」という問題は注意深くストーリーから排除されるべきだったと思う。主人公の動機が明らかになったとき、「愛する人を救いたいという想い>ロケットにまつわる社会的な問題」という不等号がなんの反駁もなしに肯定されてしまう。そこに矛盾や苦悩がなければロケットの象徴性が生きない。ならばいっそ中途半端な問いかけ自体を省く方が正解。(「祭り」で全てが解決するユートピアに全てを託すには、ストーリーがご都合主義過ぎる)
まあもちろんそこら辺をそこまで深く考えさせないのは作者のイキの良さだとは思うし、楽しいラノベにそんな考察はいらないのかも知れないが。

その辺りも含めて考えると、今のラノベにとってはファンタジーという外枠も一種のガジェットにしか過ぎず、ロケットもメイドも縞パンもロリ皇帝も、全て同一の世界観の内側に収まってしまうものなのだなあ、とやや衝撃を受ける。
これがかつての「ロケットモノ」の大枠に入っている物語ならば明らかに反感を抱いたのだろうが、しかしこの作品においてロケットとはそれ以前の単なるガジェットにしか過ぎず、テーマまで食い込むような象徴性は持っていない。「ロケット」を「ファンタジー」と読み替えても成立。

ひとりのラノベ読みとしては、これが時代の流れなのだなあと思いつつ、寂しさも感じる。