ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

赤ひげ

 

赤ひげ [Blu-ray]

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うーむかっちょいい! ストーリー的にはそんなに奇をてらわず、偏屈医者の特殊ワールドに飛び込んでいく若造というメインの縦糸を敷いておいて、あとはオムニバス的に各エピソードの面白さで勝負! といった感じ。各話の繋ぎ方なんかも巧みだなーとは思うのだけれども、それらをキッチリ見せる演出がすごい。当然映画の性質上アクションやらスペクタクルやらは少なくて、回想シーンメインの会話劇になるのだけれども、それでガッツリ引き込まれるのだから参る。色情狂と怠慢の長回しとか、別れ際の橋の振り返りの繰り返しとか、モノクロフィルムの光と影でこんなに見せちゃうんだもんなあ。いやあ、すごいすごい。

にしても改めて黒沢明ってなんでこんなに面白いんだろうなあ。医者の話だからどうしてもヒューマンドラマみたいないい話にしたくなっちゃうけど、それ以前にこれどうしようもなくエンタメだよね。観れば観るほど黒沢明って監督の特徴がわかんなくなっていく感じ。やっぱり脚本がすぐれてるのかなあ。うーん、わかんねー。

HiGH&LOW THE MOVIE

 

HiGH&LOW THE MOVIE

HiGH&LOW THE MOVIE

 

世の中的に盛り上がってたから観たけどだいぶ哀しくなった。オレがドラマとか観てないからなのかもしれんけど、なんなんだろうなあこの脚本。人間関係の多さで混乱しているのは置いといても、この話のつくりはなくないですか? 人間&組織捌けてなくて見せ方もとりあえずガンガン場所を回してけって雑な編集で、うーんキャラへの思い入れとかがあっても厳しいと思うんだよなあ。しかも戦う理由が自分の嫌いなヤツで、自明のこととして仲間やら地元やらを持ち出されるその薄っぺらさが本当にどうでも良い。まあこういう動機付けで描かれるドラマがあるのはわかるし受けるのもわからんではないけど、オレはこれっぽっちも興味ないなーというのが正直な所。この映画をあんなに推す感覚はサッパリわからん。

もちろん美術は(日本映画の割にはって意味で)頑張っている。ワーテルローが突然入ったりザ・レイド2の冒頭乱闘シーンを思わせるたりシェルブールの雨傘だったりと、まあ撮り方も意欲的だなあとは思うよ。でもさ、その意欲ってどこに向かってるの? こういう意図の掴めないやって見ました的なビジュアルというか、演出意図の伝わらなさは、基本的には嫌いなので、うーん自分は徹底的に合わねーなーと思いました。

東京喰種

 

いやー、マンガがあんまり上手くないよね。率直に言って大変読みづらい。序盤はぎこちなさでつっかかってつっかかってだいぶ苛立ちが先行したのだった。構図による視線誘導って大事なんだなーと思わされる。後半は上達したのとあとスタイリッシュアクションがこなれてきたのでまあまあ雰囲気で読めるけど、肝心のストーリーが混迷を極めてしまってどうもね。登場人物を増やすことにメリットがあるのはわかるんだけど、でもコレだけ人物が増えたのに世界観が広がっている感じが全然しなくて、未だに東京がどんな都市で対立組織がどのくらいヤバいのかがわかんなくてキツい。作者の中ではそれぞれのキャラクターのバックグラウンドとかが色々展開してきてキャラがガンガン動いて人増やすと組み合わせは無限大! でちょー楽しいのかもしれないしそう思ってそうな空気は節々に感じるんだけど、うーんオレにはそれを読み取って楽しむ回路がないなあ。っていうかなんであのアキラとかいう人があんなおいしいポジションにいちゃってるわけ? 創り手側は「うわーこのキャラいい!」って思ってるように感じられるんだけど、オレには全く思い入れできなかったのでマジで謎。あと致命的なのは主人公の立ち位置で、最初一般人だったのが強制的に半分向こうの世界に脚をつっこんでしまうのは、読者に異世界見聞をさせるのに大変有効なフォーマットだと思うのだけれども、なんで突然スーパーサイヤ人化してんの? 突然思わせぶりに現れるバックグラウンドでイヤボーン! って、あー、そういうの好きな人にはたまらんのかしらそういうものなのかしら。でもそれまでワリと丁寧に人間と異形の狭間で苦悩するキャラクターに共感させるつくりだったから、急激にあっち側に行かれちゃってビックリしちゃったよ。しかもなんか強くなってるし、っつーかなにが強くなってるのかサッパリわかんないけど。まあスタイリッシュ雰囲気バトルで思わせぶりな人間関係を補完して楽しむ作品という印象で、たぶん自分には向いてないんだろうと思われる。残念。

アーロと少年

 

アーロと少年 (吹替版)

アーロと少年 (吹替版)

 

はっきり言ってヘドが出る脚本で、異種族のふたりを旅させて仲間にさせて別れさせるのを描けばそりゃあまあなんか感動っぽくなるわけだけれども、それって人間を叩けば痛いと感じるとかそういうレベルの生理的なアレで、じゃあその生理的なアレに物語的な意味をどのように付加して情動をブーストしてやるかが脚本家の腕の見せ所じゃん? そこはまあピクサーなんでマル描いてあーなるほどーみたいなマジックを成立させちゃってソレはソレですげーなーと思うけれども、でもあのマルってなんなん? なんで必要なの? なんで彼らは家族の元に帰らなきゃならなかったの? 少年の成長と家族への帰還ってそもそもテーマが矛盾してない? なんでこんな無批判に「種族がわかたれて自分の家族と共に過ごすこと」が善とされてるの? 一緒に観てるママを安心させたいから? すると四つ足の犬も進化して二足歩行始めちゃうの? アホか。

まあそもそも「食」の要素が全くちゃんと描けていない時点で全く信頼に値しないけどね。異種族がコミュニケーションを取るにあたって最も根源の生理的作用の食がポイントになるのは当然なんだけど、最初の木の実パート以前にアーロがおいしそうにトウモロコシ食ってない時点でちょっとあり得ないと思いますね。かと思えば突然トリップ描写入れるし、中盤以降の食描写が全然ないし。極めつけは異種族間の弱肉強食的な捕食関係の描写で、後半の物語の展開はその辺りを中心にアクションが展開されるんだけど、捕食には善悪がないという大変ナイーブな問題も超テキトーに扱われて全く意味不明。ティラノの牛ってあれ食われるでしょ? ってかなんで牛はしゃべんないの?

あとはアイディア。恐竜惑星ならもっと手数を入れてワクワクした生き物たくさん入れられるでしょ? なんでフツーのヘビと戦わせたりしてるの? イエローストーンパートも見た目がちょっと変わるだけでなにも生きてないし、赤い河バトルも完璧に見せ方への工夫が不足してるし、ピクサーってそういう細部のしゃれっ気が優れてるんじゃなかったっけ? って感じ。

うん、ピクサーに過剰な期待を抱くのはやめようそうしよう。

ストリート・オブ・ファイヤー

 

ストリート・オブ・ファイヤー [Blu-ray]

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これ面白くないでしょ。Amazonプライムビデオでみたんだけど、なんでそんなに評価高いのか全然わからん。

唯一おーなるほどなーと思うのは美術で、確かにあの鈍い色で統一された高架の街並みは大変よろしい。ああいうスタイルでビシッと整えられた絵面は、ちょっとやり過ぎ感がありつつも大変良いものである。え? アメリカってこういう抗争が普通なの? とか思わされるくらいにはちゃんと雰囲気をつくってる。

が、その他で面白かった部分が全然なくてなー。シンプルなストーリーをガチャガチャしたアクションで飾り立ててもなにも生まれやしないでしょう。流れ者が街に行き着いたところで全然興味が持てないんだもんなあ。むしろ相棒を買って出た女性の方がよっぽど魅力あるよね。薄っぺらくて簡単にやられちゃうウィレム・デフォーもどーでもいいやって感じだし。それともアメリカの社会的背景がわかってればあの映画の背後になにか見るべき豊饒さがあったのかしら? そうも思えないけどなあ。

あるいは音楽が魅力的だったら救われた系の作品なのかもしれないけれども、自分にはどうもピンとこない感じで、うーん本当にこれはどこを見れば良かったんだ? さっぱりわからーん。

ファイアボール チャーミング

 

ファイアボール チャーミング ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

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なぜドロッセルお嬢様のデザインが変わってしまったのか。なぜか。なぜなのか。いやまあストーリー上の理由はわかるしデザイン上の理屈もなんとなくわかるし映像上も細かくなって大変納得感があるんだけど、ファイアボール無印の魅力はツインテールでビシバシくねくねポーズを決めるあのドロッセルお嬢様だったわけで、全体的にうーんそうじゃないんだよなあ、とか思ってしまう気持ちを抑えられない。オレだけ?

やっぱり腰回りの造型が太股強調に変わったのは大変魅力減で、かわいさよりも美しさをドカンと前面に押し出すのはわかるけれどもドロッセルお嬢様がそれでいいのか? 無印はポージングも頑張ってつくっているニュアンスというか、キメのなかになんとなくかわいさを感じられたんだけど、今回は隙のない芸術品って感じ。歩き方も完璧にモデルっぽくなっちゃってるしなあ。ツインテールから一本角になっちゃったのも全然好きじゃない。キャラクターの表情を見せる上ではポキッと曲がるあの動作が効果的に機能しているのはわかるんだけど、あの長い髪の不安定さがドロッセルの性格付けにもなっていたはずなわけで。このデザインでバイクに乗るのもわかるんだけど、わかるんだけど、ね。ってか、オレ造型とかにはあまり興味ないタイプなんだけどなんか色々考え始めているな。やっぱキャラに思い入れを抱くって大事ね。

あとストーリーに関しては、なんかよくわからんけどしっかりしてしまってソレはソレでどうなんだとも思う。結構最初の方から言語を巡るストーリーであることが印象づけられていて、おいおいちゃんとしちゃってんなーという感じ。各話のオチも結構理知的だし、もうちょっと意味不明なつくりでもいいんじゃね? と思うのは意外と一期のつくりが好きだったってことなのだろうか。

 

ファイアボール

 

ファイアボール [DVD]

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自分別にメカに欲情する人間ではないのだけれどもあーわかる。コレはヤバい。

動きがぎこちないというか常に揺れたりしないのを逆手に取って、決めポーズがビシバシ決まるお嬢様というキャラ付けをしてしまっているのが本当に見事。固いツインテールが成立しちゃうのはナルホドって感じだし、椅子に座る素振りだけでキャラ付けができちゃうのがマジでズルいよなあ。そして何より腰の動きがヤバく、くねっと腰を捻られるだけでもうメロメロです。人体の構造を抽象化すると、動きそのものがダイレクトに襲ってくるんだなー。いやあ、ドロッセルお嬢様まじで可愛いですわ。

あとストーリーとかがない不条理展開なのが逆にキャラクターへの集中力を高めてくれて非常に良い。言葉遊びとアクションだけに集中していれば、細部を見なくてもなんとなく時間が過ぎていってくれる感じ。また同じ型があるようで微妙なズレがある作品の構成は大変理にかなっているのだなあと思う。ってかコレあれか、ポプテピピックと理屈は似てるのか。