ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

嵐が丘

 

嵐が丘 [DVD]

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いつかは観なきゃなーと思ってえいやっと借りたら見たいヤツじゃなかった! モノクロのが観たかったのに! うーがー! いやまあそもそも原作を読めって話なのかもしれないけど。

ということでまあさすがに名作って言われるだけあるなーって筋書きで、いやあ大変な話ですねこれ。身分差で恋愛の悲劇が生まれるというのは古今東西問わない題材かもしれませんけど、まさかそこまで徹底的に復讐を描くとは思わなんだ。中盤でメインヒロインが死んだときはどうするのーという心配なんて杞憂でしたね。

というふうに筋書きは堪能した一方で、映画としてはだいぶ乗り切れない作品だったよなあ。観てるヤツは原作知ってるだろそこら辺の心理の動きはみたいなつくりで、いやー全然ついていけませんでしたわ。時間ジャンプ時のキャラの繋がりのわかりづらさとか全然演出でフォローできるところじゃないですか。いやまあちょっと考えればわかるんだけどさー、その把握に脳を使ってるうちに話がポンポン進むというか。

ヒースクリフが新たに屋敷の主人となって帰ってくるところも大変あっけなさ過ぎて、驚くというよりもむしろ「あーはいはいそういう原作なのね」と思ってしまう。古典の語り直しだからこそそこら辺を新規の人にも感情移入出来るように作るべきだと思うんだけどなあ。終始ヒースクリフがはいはいそう動くのねって感じでどうにものめり込めませんでした。

ジュリー&ジュリア

 

ジュリー&ジュリア [Blu-ray]

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写真撮れよ写真! インスタ映え狙え! とかつい言いたくなってしまうけどブログの創成期でWe blog! って感じでVAIOもでけー文字でびっくりで、写真の進歩ってすごいんだなーiPhoneすげーわ。

ということでインターネットを手に入れたことで自分を磨くアラサーウーマンのお話、とかくとずいぶんアレっぽく聞こえるな。でも実際そこら辺は狙ってるだろうしそういう自己実現の話ではある。ふたつの時代でふたつの物語が並行して走るわけだけど、過去のジュリアが一生懸命玉ねぎの練習して上達して周囲の女性への偏見を跳ね返して、という女性の権利を獲得していく話とも読めるのに対し、現代のジュリーがとりあえず料理はできてて別に上達とか社会の偏見とかは関係なく夫婦関係と自己実現でストーリーが完結している辺りもまあそれっぽくて趣深い。ふつーにメリル・ストリープがすごすぎるって話なのかもしれんけど。

事実をバックグラウンドにしているのはわかるけど、それにしたって締まらないラストだよなあとは思う。なんとか「心の中のジュリア」とか決着はつけた感じになってるラスト、ホントに決着ついてるかなあアレ? スミソニアン博物館にバターを備えて自己完結! とかやられてもあんまりオチがついてるようには思えない。編集者のなんともやり所のない下りも含めて、映画化の差違にもうちょっと脚色しちゃっても良かったんじゃないかなあこのトーンなら。

あとどうでも良いがスミソニアン博物館ってキッチンとかも展示してあんのか。一番の衝撃。

アンジェラの灰

 

アンジェラの灰 特別版 [DVD]

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ひとりの青年の反省を追った話なんだけど別に強烈なストーリーがあるわけではなくてそれなのに結構長くて普通飽きてしまいそうなもんだけど面白ーい。ひとつひとつのエピソードも大変気が利いててるし、何より今まで知らなかったアイルランド感が興味深いんだろうなあ。アメリカ映画でちょくちょく出てくるアイルランド移民、世界史とかIRAとかでなんとなくのイメージはあるけど実際どういう人たちでどういう生活しているのよ? ってのがもうこれ以上ないくらい強烈に植え付けられちゃって、いやでもこれでイメージ固定しちゃっていいんだろうかこれが一般市民の生活なんだろうか。冒頭からぽこぽこ子どもは生まれるしバンバン死ぬしの凄まじいテンポ感でもう釘付け。エピソードの展開が早すぎて一瞬たりとも目を離せない感じがヤバイ。ボーッとしてたらすぐ死んでる。雨が降ると人が死ぬ。家は1階が水浸しの便所水まみれだしションベンはバケツにジョーで辺りにバンバンぶちまけられるし酔っぱらってすぐションベンまみれになるしオマケに神を裏庭にゲロしちゃうしいやー衛生概念ってマジ大切ですね。

でもそんな無情で無慈悲な世界だからこそ神は意味を持つわけで、家庭環境が特殊ってストーリー上の装置もうまく機能して、信仰ってのはこのような場所でこそ必要にされたんだなあと言うのが非常に良くわかる。今まで観た映画の中で一番共感が持てたかも。でもあの流れでヤギとのセックスを描かないのはおかしいと真剣に思う。

死刑台のメロディ

 

死刑台のメロディ [DVD]

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あーそうかーなるほどなー。イタリア系の映画を結構観てるつもりだけど、ずいぶんアメリカにおける移民の立場とか実感出来てなかったのだなあ。『夕陽のギャングたち』とか見ても革命革命言うのが全然ピンとこなくて一体何なんだろうなーと思ったんだけど、こういう弱者の視点をコレだけはっきり打ち込まれるとあーすいませんって気持ちになる。いやーそうだよなースコセッシだってイタリア系移民の視点の話よなー。今まで何を観ていたのか。反省。

ということで名前は色んなところで聞くけども意外とみていなかった作品。いやー傑作でございますね。オープニング直後から画面一杯にほとばしる力強さに圧倒される。あんな飛び降りシーンをしつこく連発する必要あるのかないのかといわれればたぶんないんだけれども、でもあの常軌を逸した編集から否応なしに突きつけられる主張にもう参りましたって感じ。合間に挟まる実際の映像も大変効果的に機能している。のだけれども、やっぱモリコーネがズルい。あんなエモーショナルな楽曲がギャーンと差し込まれたら、滾らずにはいられないじゃないですか。いやーなんなんだろうこのモリコーネの滾らせ力。

にしても、アメリカには法廷物が多いよね。正義とは何かというテーマに真正面からぶつかっていって、それがエンタメになっているのは、やっぱり合衆国憲法と国民の距離の近さ故なんだろうなあ、と改めて思わされました。

地獄の逃避行

 

地獄の逃避行 [Blu-ray]

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なんじゃこのとりとめのない話は。映画全体が行き当たりばったりというか思いつきというかで構成されている感じ。いきなり森の中でサバイバル生活始めたり大富豪の家でメシ食ったり列車が早かったりヘリが追いかけてきたり、どっかふわふわしててとりとめもないよねえ。特に逃避行する理由も見つからずワルになりたかったとか突然言われてもいやーと苦笑いするしかない。まあでもヒロインの幼さなんかも含めてその幼さが悪い方にいってるかというとそうでもないような気もしないでもない。まあそれはそれで味がある、みたいな見方もわからんでもない。ってかこれ実際の事件を下敷きにしてるのか。なるほどなあ。

でまあ、テレンス・マリックは『天国の日々』と『シン・レッド・ライン』に引き続き3作品目か。まあ相変わらず絵は美しいなーと溜息出るしスケールのでかさに参るけど、しかし『天国の日々』ほどうわーすげーなーという感じはしなかった。ノはもしかしたら後続の監督たちに真似されてちょくちょく当たり前の画になっていると言うことなのかしら。そこら辺の感覚はさすがにわからんからなー。もっと映像勉強したいなー。

皇帝ペンギン

 

皇帝ペンギン [Blu-ray]

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ドキュメンタリーと思ってたもんで最初は過剰な演出にドン引きする。なんだよあのわざとらしいSE。かなり編集の意図が強烈でこういうの苦手なんだよなー、とゲンナリ。していたもののどうやら見ているうちにこれってそういうドキュメンタリーを志向してる作品じゃないってことがわかってくる。どっちかっつーと読み聞かせの絵本に近いよねコレ。

そうやって見出すと色々腑に落ちるわけで、ペンギンの夫婦にナレーションというか吹き替えというかがついて気持ちを代弁しながら話が進むんだけど、よく考えるとペンギンってめっちゃ擬人化しやすい外見してますよね。直立してるし二足歩行だししかもその動作がいちいちユーモラスだし。でまあそれに相まって、コウテイペンギンの強烈に意味不明な子育ての試練があるわけです。いやマジで意味がわからん。そこまでしないと生存競争に生き残れなかったのかコウテイペンギン。むしろなぜその生態で生き残れたしコウテイペンギン。しかしそれが子育てという不変の価値観で描かれるわけだから感情移入しないわけがなくて、赤ちゃんまで生まれちゃったらまあ大変! そりゃまあ見入っちゃうのもしょうがないよねえ。ましてあのフランス語ナレーションでしょ? なんかこの枠組みを作った時点で大勝利だよなあ。

こんな限られた枠組みの中でも南極の四季のバリエーションとペンギンの生態のワンダーでキッチリ興味を保たせてて、いやーこれ技術的にも素晴らしい作品でしたね。こういう所がきちんとしてるとは全然想像してなかったので大変驚かされました。

地獄の黙示録

 

地獄の黙示録 特別完全版 [Blu-ray]

地獄の黙示録 特別完全版 [Blu-ray]

 

もうねこれはねどう考えても『キングコング: 髑髏島の巨神』が悪い。いやこんな有名作を今まで観てなかった俺の責任? いやーでもこれなぜかどこでも映像配信してないじゃないですか。このレベルでの過去の名作へのアクセスがネットで完結しないってそれマジでおかしくないですか? 『トロピック・サンダー』とかこの映画観てからじゃないと楽しさ半減なんじゃないですかマジで? ってかこのレベルだとマジでオマージュ作品が先にイメージ形作っちゃうことありえるよなー。

でまあ、この作品もあちらこちらでオマージュされまくってるわけで、あーはいはい知ってるこういうヤツね、ってシーンがボンボン出てくる。ボンボン出てくるのは良いんだけど、やっぱラストのあのシーンをまんまやっちゃうキングコングの罪はでけーと思うんだよなあ。これって最初の大スペクタクルから始まって、戦争の狂気、って言葉では全く括りようのない異界をボートで旅するという、大変情緒あるロード(リバー?)ムービーなワケじゃないですか。だからラストでもう一人の自分的な存在に出会うあの村のシーンの玄妙さって、絶対に必要なわけですよ。たぶんキングコング見てなかったら「こ、こんな所まで来てしまったのか……」と衝撃を受けるシーンだったはずなのになあ……俺「キングコングかよ!!」としか思わなかったよ。ああ、なんて不幸な映画との出会いなんだ。

とはいえ傑作であることは間違いなく、「ワルキューレの騎行」が流れる例のシーンはやっぱキレキレ。だけどあそこってあのサーフィン大好き指揮官が素晴らしすぎるよね。あの指揮官がド頭からベトナムの狂気っぷりをドカンとぶちかますわけで、いやー、圧倒される映画体験だよなあ。