ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

シフト――2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来

 

シフト――2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来

シフト――2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来

 

え? その小説要る? とか途中で真剣に悩みましたが、いやいやしかしとても面白い本。2015年でトランプが大統領になるなんて予想できてないわけで、そこら辺も含めて大変面白い。予測から外れた部分、予測が頷ける部分、各所に点在している感じ。本当はもう少し政治状況含めてバックグラウンドがあれば違った見方ができたんだろうけど、技術的な側面を中心に追いかけてみてしまった感じはある。スマートフォンの普及が民主主義のあり方を大きく変えようとしている、というのは各所で耳にすることだけれども、発展途上国への普及という観点は結構見落としてたので大変面白かった。そうだよなあ無線通信がインフラの普及度を補うんだなあ。格差があーだこーだ言われている状況なので中間層の拡大という分析にも驚き。と説明されてもやっぱり納得がいかない部分は多いけど。あとやはりアメリカの他には中国が中心的な存在になるだろうって当然のように語られているのも再確認する感じだよなあ。

時折言及される日本についての言及があるたびに、日本は老いていくのが確実視されている国なのだなあというのを思い知らされて、いやまあ客観的に見てそうですよねーと思う。せっかく物資情報の流動性が高まっても、海外から若い労働力を受け入れるような状況じゃないもんなあ。ディープラーニングが言語の壁を取っ払ってくれたらまたちょっと違ってくるのかしら?

タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密

 

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スピルバーグは最高だな……やっぱ格が違うわ。

冒頭の見せ方からしてもう最高で、似顔絵でキャラクターを明示するとかあんなアイディアの塊みたいな入りをされたら拍手喝采するしかありません。砂漠を海に見立ててからの船自体がぶつかり合うような白兵戦の鮮やかさはもう呆れるくらいだったし、クレーンVSクレーンのクライマックスのバカバカしさも見事! だけどやっぱり感動的なのは海辺の街での長回しチェイスで、上にダムを造って水の流れで上下の関係性を印象づけておきながら、車とバイクでカーチェイスしつつ犬とハヤブサ含んでの紙きれ争奪戦!!!! いやあ、ヤバイ。3D映画で可能になった表現ってたくさんあると思うんだけど、スピルバーグに撮らせると物語の重要性に合わせてあんな大活劇をブチ込んでくるんだなーと感動しました。いやー、なんの感激もなかったタートルズの長回しがまだ記憶に新しいだけに、余計にね……

あとは普通に撮影技術がヤバイよなー。実写映画だったら絶対にできない完璧な光量のコントロールだったり、あるいは物理的に制限される動きの中での撮影だったりを、作品の中になんの違和感もなく溶け込ませるあの手管。いやはや、全編大変堪能させていただきました。

ジャック・リーチャー NEVER GO BACK

 

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映画としては前作の方がわかりやすく面白いかなーとは思うんだけれども、今回はテーマとかそういうメタレベルでの趣好が面白い。「正義の味方が家族を守るために苦悩を強いられる」っていう構造はまあよく見るけれども、今作の「家族であるかどうかがわからない」ってのは大変皮肉が効いていて良い。あんなに一匹狼感の強かったジャック・リーチャーが、小娘ひとりのためにどれだけ身体を張れる? っていう根底の構造はかなり面白く、あー、そうやって振り返るとその構造に見合うだけの展開ではなかったかなあ。もう少しそこを強調して正義とは何かに肉薄する話にもできたのではないだろうか。せっかくヒロインとのラブストーリーもほっぽって娘(?)との話に専念できたのになあ。ストーリーラインも行ったり来たりでライバルもそんなに経ってる感じはしないし、普通のアクション映画っぽくなってしまったのは残念。

あと思うのはトム・クルーズの年の取り方で、もう50半ばなワケだよね? 腹の辺りもだいぶふとましいし、アクション俳優としてはどう考えたって限界が来る。このレベルの俳優だと作品の中でどうやって老いていくかを描くターンに来てるわけで、あー、実際どうすんだろ? そこら辺ものすげえ興味があります。

 

 

CURE

 

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黒沢清、実は初めてだろうか。いやーすごいすごい。すごいっていうか危ない。こんな危ない映画撮って良いのか。催眠に関する映画で、客観的には安易でどーしょーもないネタのはずなのに、見てて「あ、コレヤバイやつだ」って本能的に感じるのはなんなんだ。恐ろしい。

役所広司の性格作りも大変良いけど、なんといっても萩原聖人。台詞と演出の素晴らしさもあるんだけど、いやはや、催眠に誘導するシーンをよくもまあこんな風に描けたもんだわ。映画を観るって行為は催眠と親和性があるんだろうけどさ、いやー、こんなにしっかり誘導される感じのある作品ってすごいよねー。会議室で上司が取り乱すのホントによくわかるわ。

あとは音響がやばい。なんだかよくわからないけど不気味な音、音、音のオンパレード。別にビックリホラーになんてしなくても、人間の恐怖を煽ることって普通にできるよね。延々唸り続ける洗濯機の音が本当に不気味。

カメラもリアリティのあるところとないところと自在に行き来して巧み。海岸のキャラクターの出し入れとかマジでたまんないし、出し抜けの暴力を引きでドン! とかもうたまりません。

いやー、こういう技術的な上手さが可能にする催眠誘導だよなー。こんなん絶対映画館で見たくないですわ。

 

ドローン戦争の真実

 

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『ドローン・オブ・ウォー』でテーマになっていたドローンでの戦争のドキュメンタリー。映画として脚色されてた部分とかが見えてきて大変味わい深い。特に映像の細かさがあの映画の印象よりメチャクチャ荒く、いやこの映像で爆撃の可否を判断してたのかマジか。何よりもそこがすげえショッキングだった。ドラマで脚色があるのはまあ当然だろうなーと思ってたけど、映像の精度ってあの映画の根底を支えてたからなあ。

基本的にはPTSDというか、ドローンで人を殺すことに対する罪の意識がトーンを決めているんだけど、その一方で国の機密事項に対する圧力が全体に影を落としている感じが大変やばい。というか怖い。個人の良心から導かれた告発が国家の利益のために目に見えない力で殺されていく。比較的近い出来事で、しかもリアルタイムで出来事が進行していくもんだから、いやーなんとも言えない気持ち悪さがありますね。

最近映画を観ながらアメリカって国について考えることがだいぶ多くなったんだけど、なるほど政府に対する不審感ってこういうところから蓄積していくのだろうなあ。この居心地の悪さを味わえただけでも、見て良かったと思える映画でした。

スーサイド・ミッション

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身の丈を知った90分という感じ。予算やら何やらの都合で一つの建物で立てこもりという設定でやるという前提で見たら、多少の強引さも必要になっちゃうよね。極秘施設のついでに極秘の犯罪者が収監というのは最高に厳しいがまあ話の前提だからしゃーないかって感じだし、みんな犯罪者だから超強いというロジックはちょっとやり過ぎな感じもするけどわからんでもないし、すげえハードルを上げておいてなんかよくわからん女性が出てきてなんかよくわからんけど強いらしいのもまあそういうモノなのでしょうがない。が、スナイパーの超人的生命力は謎。ってか2発撃ち込んでおけよ。プロならちゃんと殺しとけよ。ラストで「どうだこれが真相!」とばかり過去の因縁を持ち出されるトホホ感とかもまあこういう映画ならそういうレベルでしょーがないよねという感じで、今振り返るとむしろ良くこの内容で90分走りきったよなーと感心してしまうくらいです。

あとどうしてもツッコまなければならないのはあのキスシーンでアレなんなんだよ。突然盛り上がってとってつけた感じのチュー度合いが今まで観た映画の中でも最高に高め。ギャグスレスレ、というかむしろギャグだよなーアレ。

 

陰謀のセオリー

 

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わっはっはっはなんじゃこの映画。統合失調症っぽい男主人公の陰謀論に周囲が翻弄される序盤をどうやって転がすかと思ったら、なんの捻りもなく秘密工作で実際陰謀が行われていたという超展開。いやー前半あれだけ「あり得ないでしょ」っていう常識的判断で物語を展開させたのだから、それがひっくり返すところには普通細心の注意を払わないといけないはずなんだけど、そこをガン無視で力強く物語を進めていくその手管には圧倒された。マジか。正気か。トルコで地震まで起こすのか。

まあしかし一応そういう前提なのねしょうがないねと思わせるだけの牽引力は一応あり、なんだかんだメル・ギブソンが追跡されるのを如何にやり過ごすかという手管にアイディアがあって面白い。色々ツメは甘いけど、これだけアイディア詰め込まれると赦してしまうよね。ラストあたりのストーリーのどんでん返し含みの展開も、色々細かいことを気にさせない力強さに満ちていて、まあこれはこれでこういうエンタメ映画があってもいいよなあ、とは思わされました。

しかしラストでだいぶ普通の人間になっていたのはどうなの? と思う。序盤よりもずいぶん物わかりの良い人間になっていて、それってちょっと流れでやりすぎじゃありません? まあだからといって殺せば良いかというとそうでもないよなあ、とは思いましたが。