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ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

アメリカン・ハッスル

 

アメリカン・ハッスル スペシャル・プライス [Blu-ray]

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何はともあれクリスチャン・ベイルの下っ腹で大爆笑する。いやーすごいすごい。そりゃああんなだらしない姿をだらしない格好で撮りたくなるわ、アレ。

ちょっと長めの映画で、映像的に派手なシーンだってほとんどなく、例えば音楽だって終始スーパー控えめなんだけれども、もう全く目が離せない。騙し騙されの話ではあるんだけど、金をだまし取るため……とかいうのよりも、むしろ愛を巡った騙し合いの方が前面に出ているのが最高にエキサイティング。

出会いのシーンでは「え? この人が主演女優なの? あんまり魅力的には思えないなあ……」と思ってた相棒が、主人公の愛を勝ち取るためにFBIと付き合い始めたときはかなりの鳥肌だったのだけれども、それが嫁と対峙するあのシーンの迫力ったらそれに輪をかけてすごい。っつーか嫁の尻上がりに存在感が高まっていく感じヤバイ。マフィア軍団に単身乗り込んでいくあの驚きったら!

しかしまあ表面上のストーリーを引っ張っている「善人を騙す」という構図こそがこの映画のキモで、市長との家族ぐるみの交流が最高に良く描けてるよなあ。どちらかというと破綻のシーンの方が好きで、感情を必死に押さえて殴るに止める感じ、それを後ろの方でじっと家族が見つめている感じ、あのやるせなさが最高に好きです。

いやーぱっと見地味だけど、大変面白い映画だった。

素晴らしき哉、人生!

 

素晴らしき哉、人生!  Blu-ray

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ずっと見なきゃ見なきゃと思っていてようやく見たのだった。

いやねー良い映画なんですよ。すごく良い映画。テーマははっきりしているし台詞のやり取りは気が利いているしエピソードのつくりはとても良い。子どもの所在を花片の有無で暗示する下りとか、もうあまりにも良すぎてビックリしちゃうね。色んな人が名画として名前を挙げているのはよくわかる。わかるよ。わかるんだけどね。

 

俺、この映画の後半の展開思いっきり気に食わねえわ。

 

いやまあ、ifの世界が出てきたときに「あー嫌な予感がするなあ」ってのは感じてたんだけどね、あそこの世界で「主人公がいないことで幸せになった人物」が徹底的に描写を避けられているのは、あまりに恣意的ではっきり引く。なんて主人公に都合のいい世界!! 最後の望みだった妻が独身で画面に現れたときは、もうね、なんつーかその、「Kanon問題はここにあったんだ!!」って感じで爆笑しちゃったよ。

結局さ、主人公には様々な困難が襲いかかるけど、その困難って正しい道を選ぶか誤った道を選ぶかの二択で、主人公はいつも正しい道を選ぶのよね。でもそこには、少なくとも「選択肢」が提示されていて、そこで彼は正しい道を選びました、だから世界は正しい形であるのです、という道理に沿って構築されている。彼は主人公であるという祝福を、この映画の世界から与えられている。

選択肢を与えられない場所で、彼はどんな行動を取れた? 家族に当たり散らし、酒に溺れ、自殺を試みるという、ごく当たり前の行動しか取れない。そういう意味では、主人公が甘えを許された世界ではあるよねえ。

 

でも、本当に人の心を打つのは、その選択肢さえ与えられていない人間が、どうやって世界に相対するかってことの方なんじゃないのかなあ。だからこそこの映画では、選択肢が与えられていない場所から奇跡を起こす役割を与えられた妻こそが、魅力的に感じられちゃう。ま、しょうがないよね。ラストの寄付金のきっかけもミラクルだけど、やっぱりハネムーンのアレ、あの逆転ホームランを打たれちゃったら、もう惚れますわ。

はじまりのうた BEGIN AGAIN

 

ストーリー的には本当にたわいもない話で、興味を剥がさないために時系列を弄って所々回想を挟めなきゃいけないくらいなんだけど、いやでも今思い返すと適切にキャラクターへの興味を呼び込んでいて良い変更だよなあ。恋愛関係と親子関係を並列に走らせてきちんと物語に結末を儲けるメインのストーリーラインも、奇をてらわずに本当に適切。素晴らしい。

ほいでもってちゃんとストーリーに引き込んでから、きちんとこの映画ならではのマジックが機能していて、それは脳内で始まるアレンジだったり、外でゲリラ的に録るアルバムだったり、留守電に吹き込む即興曲だったり、あとは二股で聴くプレイリストのシーンであったり……この映画ならではの素敵なアイディアをコレだけ入れられたら、もう大満足でございます。

にしてもなー、二股イヤホンのシーンは本当にハッとさせられたなあ。日常の風景に音楽を載せることで全く別の意味を持たせる、っていうのはある種の編集なんだけど、その編集作業を恋人同士で聴くことで、ふたりにしか見えない世界の切り取り方が可能になるわけで、いやそりゃすばらしく雰囲気が出るよね、うん。

地雷を踏んだらサヨウナラ

 

地雷を踏んだらサヨウナラ [DVD]

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いやー浅野忠信すごいなあ。子どもとはしゃぐシーンをこんな風に撮れるんだからなあ。すごいなあ。浅野忠信を堪能する映画でありました。

映画自体はあまり良く撮れているとは思えなくて、実在の人物の映画化にちょっと戸惑っている感じ。映画として最も劇的であるだろう地雷シーンのために、耳が聞こえないという点をことのほか強調して、なおかつ木にあんなわかりやすく登らせた上、最後スローモーションで走らせちゃうってのは、なんかこうあまりにもみっともなさ過ぎないだろうか。ラストの『明日に向って撃て!』も、もうなんかやり過ぎで見ていられない。主人公の内面をもっとじっくり描いて共感できていたら、また感じ方も違っていたのかもしれないけれど、基本的には無鉄砲に戦場で自業自得の写真を撮り続ける若者、くらいの見え方しかしなかったからなあ。うーん……

ところで、冒頭のベトナム戦争コラージュシーンが、いやあ別に色んな映画で使われている手法でそんなに戸惑うはずじゃないんだけど、なんかこう微妙に乗り切れない。何が違うんだろうアレ。

シン・シティ 復讐の女神

 

シン・シティ』は映画館で見たので記憶が遙か彼方で内容もすっかり忘れてるんだけれども、この作品単体に限ってみるとちょっととりとめがないよなあ。一応連作短編形式ではあるのだけど、それぞれの復讐が「シン・シティ」という共通の場によって辛うじて関連性を持っているだけで、パッチワーク感が否めないというか。別にこれらの作品をひとつにまとめて映画作品にする必要ってあるの? という感じ。魔性の女なり市長なり、中心に据えて物語を語る余地が充分にあるように思えるからこそ、それらが分断されて普通の復讐譚にまとめられてしまっているのが惜しい。こんなにキャラを使い捨てにする必要ないよなあ。その分1キャラずつの彫り込みが浅くて、切り取った思わせぶりな言葉が浮いちゃっている気もする。いやー、どうなんだろうなあコレ。まあ、ロバート・ロドリゲス監督の続編だからなあ、こんなもんなのかなあ。

それにしても相変わらずOPタイトルはかっこよくて、あのアメコミ調CGにバシッと字幕が決まるあの映像を見られただけで満足、というのはある。

 

カエアンの聖衣

 

あ、これ新訳版で、出たのはだいぶ前だったのね。そうか全然気づかなかった。いや、内容が普遍的というか、時間を経ても古さを感じさせない内容だったんだろうけど。

そこら辺も含めてなんかこう読み方が違ってたのかなーという感じは全体的にあって、ワイドスクリーン・バロックってのがそもそも全然ピンと来ていない。Wikipediaで「主な作品」を見ても未読の作品ばっかりで、手をつけてないことを恥じ入るばかりでございます。でもなー、別に呼んでて今まで知ってるSFとそう明瞭に区別するないようだったようには思えないんだよなー。服が知性を持つとか、宇宙を股にかけて泥棒するとか、学術調査で種族の起源を探るとか、あと例によって圧巻の刑務所脱出シーンとか。「おーそうそうSFってこれこれ」感は普通にあって、なにも考えずに楽しめたのでした。

でもまあ、中島かずきの解説で「キルラキル」が取り上げられてて、あーなるほどそーかそーかと納得。作品的には映像がガーッとなっててそこまでSF成分が生きているようには思ってなかったんだけど、そこは確かにテーマとして面白いところよねえ。

トロピック・サンダー/史上最低の作戦

 

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なんなのこの豪華キャスト、ってかトム・クルーズ。なんかやけに説得力のある富豪だなーと思ったらまさかのトム・クルーズ。もうあのキレキレのダンスを見られただけで大満足の映画。オマケにやけに挿入歌が豪華で、しかも過去の名画のあれやこれやを何の意味があるのかわからんけどとりあえずつっこんであるわけで、その豪華さにとにかく圧倒されてしまいます。無論ベトナム映画のパロディもちょこちょこ差し込んできますね。

あーでもこういう映画にしてはちょっと頭が良すぎるというか、はっちゃけ度合いが足りない感じもしなくはない。ドラッグとかの下りもうちょっとアホくさくやってもいいと思うんだけど、そこをめまいズームでスマートにやっちゃってて、いやまあきちんと決まってはいるんだけど、もっとアホみたいに誇張しても良いんじゃないのかなあ。障害者を題材にしている映画のギャグも、まあ確かにツッコんではいるんだけど、良心的な範囲に収まってるような……そういうところに全力でケンカを売りに行って欲しかった感じは、正直ある。

あとなー、脚本としては普通の友情物語に話が回収されてしまって、虚実の入り交じった舞台設定を生かし切れてなかったのはちょっと残念かなあと思う。もしかしたらもうちょっと謎の感動を呼び起こせたんじゃないのかしら。